bluescatの日記 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2007-08-21なつやすみのにっき2

[][]本読み。その過程か。読後感か。:G・ガルシア=マルケス百年の孤独本読み。その過程か。読後感か。:G・ガルシア=マルケス『百年の孤独』 - bluescatの日記 を含むブックマーク はてなブックマーク - 本読み。その過程か。読後感か。:G・ガルシア=マルケス『百年の孤独』 - bluescatの日記 本読み。その過程か。読後感か。:G・ガルシア=マルケス『百年の孤独』 - bluescatの日記 のブックマークコメント


 夏休み、二日目、は、海だった。

 でも、書くことはない。私が、ビールをたらふく飲んで、酔っ払って、××は海に還ります、とかなんとか言って、ぶくぶく溺れながら海に漂っていた、なんて話、面白くもなんともないし。

 暑くて楽しくて酔狂な思い出が、頬と肩と背中と胸元の、かすかな日焼けの跡とともに残っている。


 三日目は中日。なんにも予定を入れない日が一日くらいあるのもいい。

 六月くらいからずっと読んでいる本があって、それがあともう少しで終わりそうだったので、この機会に読み切ってしまうことにした。

 ガブリエル・ガルシア=マルケスの『百年の孤独』。


百年の孤独 (Obra de Garc´ia M´arquez)

百年の孤独 (Obra de Garc´ia M´arquez)

http://d.hatena.ne.jp/asin/4105090119

d:keyword:百年の孤独/d:keyword:G・ガルシア=マルケス


 このかたの作品は、友人から借りた『予告された殺人の記録』以来二冊目。以前からずっと読みたいと思っていた念願の作品。でも。本を読む時間が朝と帰りの通勤時間に限られていたので、一日に読み進められるのは、わずか、五、六ページくらい。ひどい時――頭がぼうっとして働かない時は、二、三行読んでは戻って、五、六行読んではまた戻って、というのを繰り返し、そのくせちっとも頭に入らなくて、結局一ページも進まないこともあって。そんなペースで読んでいたものが、やっと終わろうとしているというのが感慨深い。

 G・ガルシア=マルケスコロンビアの作家である。私がこれまでに読んできたのは北半球の作家のものがほとんどだが、それとは全く異質という印象を受けた。濃密な細部と、魔術のように次々と繰り出されるエピソードが、見る見るうちに根を伸ばし葉を拡げる熱帯雨林の植物のような圧倒的迫力を持って、描かれている。八月に入ってからのじりじりと身を焦がすような酷暑が、作品の世界観と相まって……。『百年の孤独』を『体験』する、ゾクゾクするような悦び。さすがに午後の暑さは堪えられずカフェに逃げ込み、アイスコーヒーを飲みながら、残り五十ページほどを一気に読み切り、ほっと一息をついた。

「こういう圧倒的な語りを前に、一体どういう「解説」が可能なのだろう。全く途方に暮れてしまう。」

 と解説にあったが、まさにそんな感じ。

 ものすごく濃密で奇想天外な夢を見て、ぼんやりと目覚めたときのような、軽い倦怠感。まだ夢から覚め切れず、呆然とするような。不思議で素晴らしい体験だった。


 そうそう。先日、知人と談話していた際、ジョルジュ・バタイユの『眼球譚』の新訳、『目玉の話』を読んでいたのだけど、読み終わるのがもったいなくて、途中で読むのを止めた、というようなことを言われて。


マダム・エドワルダ/目玉の話 (光文社古典新訳文庫)

マダム・エドワルダ/目玉の話 (光文社古典新訳文庫)

http://d.hatena.ne.jp/asin/4334751040


眼球譚(初稿) (河出文庫)

眼球譚(初稿) (河出文庫)

http://d.hatena.ne.jp/asin/4309462278


 知人曰く、面白いものは読み終わりたくない、と思ってしまうのだそうだ。だから、途中で止めちゃう、と。

 私なんて。面白ければ面白いほど、もったいないから、読み終えたい。読み終わったら、また別の面白いものを読みたい。なんて思ってしまうのに。……贅沢なのだろうか。欲張りなのだろうか。

 他にも、その世界にずっと浸っていたい、読み終えたくない、という趣旨のことを言っていた人もいたような。いずれも男性。

 例えば、ライヴ演奏のように。ずっとその演奏に浸っていたいと思う、ということだろうか? それは分かる気がする。気持ちの良い演奏は、ずっとそれに浸っていたいと思うものだ。とすると、知人にとって、本を読むという体験は、気持ちの良い音楽を聴いているときと同じようなものなのだろうか? 気持ちの良い演奏にひとしきり浸ったあとの余韻というのもまた格別なのだけど。もしかすると、私は、その余韻を求めているのかもしれない。

 体験の、その過程を楽しむか、体験した後の余韻を得たいと思うか、という違いなのだろうか。

 知人にすれば、何気ない発言だったのかもしれないが。ずしりと来る一言だった。


 ところで。ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』。

当初の構想ではこの小説はそれぞれ独立したものとしても読める二部によって構成されるものであったが、作者の死によって第二部(第一部の十三年後の物語)は書かれることなく中絶した。今日われわれが『カラマーゾフの兄弟』として知るこの小説は、壮大な未完結作品なのである。ただし、小林秀雄が評するように、本作は「およそ続編というようなものがまったく考えられぬほど完璧な作品」となっている。

Wikipedia - 『カラマーゾフの兄弟』 より)

 この作品は、未完でも良い、というのは理解できる。『一部』だけで完璧な作品として読めるから。むしろ、『一部』で終わっているからこそ良いのだという意見にも、賛成できる。でも、もし、『二部』まであったら。私は、読んじゃうなあ。きっと。読みたくないような気もするけれど。きっと、読む。




 どうですか? 『カラマーゾフの兄弟』第二部。貴方は、読みますか。読みませんか。


 面白い本、もったいなくて、途中で止めますか。もったいないから、読み切りますか。――なんてねえ。




カラマーゾフの兄弟1 (光文社古典新訳文庫)

カラマーゾフの兄弟1 (光文社古典新訳文庫)

http://d.hatena.ne.jp/asin/4334751067

d:keyword:カラマーゾフの兄弟/d:keyword:ドストエフスキー


*新訳。私は未だ読んでいない。











---

- a kind of serial novel -

[“FOR GET”(フォー・ゲット)]

http://d.hatena.ne.jp/bluescat/





はてなブックマークに登録 | MyYahoo! に登録 | del.icio.us に登録 | livedoorClip に登録 | Buzzurl に登録 | Bloglines に登録


トラックバック - http://c-u.g.hatena.ne.jp/bluescat/20070821

2007-06-17

[]:読ませるストーリー:『わたしを離さないで』 :読ませるストーリー:『わたしを離さないで』 - bluescatの日記 を含むブックマーク はてなブックマーク - :読ませるストーリー:『わたしを離さないで』 - bluescatの日記 :読ませるストーリー:『わたしを離さないで』 - bluescatの日記 のブックマークコメント

わたしを離さないで

わたしを離さないで

 カズオ・イシグロ『わたしを離さないで』

 読了。

 ひさしぶりに現代作家のものを読んだ。

 いや、現代作家というカテゴリは、私のなかでは勝手ながら、まだ生存している、あるいは、この百年くらいの間に生誕した作家、というのをイメージしているのだが。

 もっとちゃんとしたカテゴリ分類の仕方があるのかもしれない。

 ともあれ、ひさしぶりに読んだ現代作家の作品、ということにしておこう。

 さて。著者は、日本生まれの英国作家。作品のひとつである 『日の名残り』 は英国最高の文学賞であるというブッカー賞を受賞、また、ジェイムズ・アイヴォリー監督によって映画化もされている。

 と、ここまで書くだけでも、とても権威のある作家によって書かれた作品だということが分かるのだが、この作品に関して、個人的にはあまりすきな文章ではなかったというのが本音。

 しかし、ストーリーの展開、ストーリーの運び方がすばらしく、まさにページを繰るのももどかしい、おもしろさが、あった。

 普段、本を読むのにあまり時間を割けないのであるが、自分としては異例で、なんと、約350ページの作品を五日ほどで読み上げてしまった。

 ここ数ヶ月、小説というもののありかたについて、ストーリー性か、それとも、スタイルそのものの確立かで、考えてしまうことが度々あった。むろん、その両方をバランスよく兼ね備えていることがベストではある。しかし、ストーリーがここまで突き抜け、それを読ませるための優れた技術に基づいて描かれていれば、文体がすきだの嫌いだのは関係なく読み切れるものなのだ、ということを思い知らさせてくれた作品である。



 わたしの名前はキャシー・H。いま三十一歳で、介護人をもう十一年以上やっています。



 あまりにもそっけないはじまり方。この一文からは、この物語がどのように展開していくか想像することは難しい。淡々とした語り口で一文一文を積み重ね、我々を知らぬまに物語の世界へ引き込んでいく。そして、最後の一文へ辿り着いたとき、やはりそっけない一言が待ち構えているのだが、それが逆に、物語を通じて『体験』したできごとをより深く印象づけることに成功しているように思える。

 読ませるストーリーとはなにか、ということに疑問をいだいているかたに、ぜひともおすすめしたい作品である。





 ちなみに、イギリス作家というと、ウィリアム・シェイクスピア、チャールズ・ディケンズ、エミリー・ブロンテ、オスカー・ワイルド、ウィリアム・サマセット・モーム、ヴァージニア・ウルフ、ジェイムズ・ジョイス等々、私が読んだことのある作家だけでも、錚々たる作家の名が思い浮かぶ。イギリス文学の歴史については別途機会を設けて記事にしたい。






---

■ Hatena Diary ■

[“FOR GET”(フォー・ゲット)]

a kind of serial novel

http://d.hatena.ne.jp/bluescat/




トラックバック - http://c-u.g.hatena.ne.jp/bluescat/20070617