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2010-03-18 (木)

[]すまいる 17:17 すまいる - ことだまり を含むブックマーク はてなブックマーク - すまいる - ことだまり すまいる - ことだまり のブックマークコメント

だから嫌だって言ったぢゃない。薄暗いし換気は悪いしカビ臭し。ええ、そりゃあ駅から歩いて5分、南向き、4LDK築3年で月7万5千円の家賃は安いわよ。でもそれって、もう十分、怪しいレベルじゃない?訳ありレベルじゃない?しかも、今まで未入居って何よ。聞いてないわよ。そんなの知ってたら、最初からやめてっていうわよ。なのにあなたったら格安だ、出物だ、急がないとヤバいって急かせて。ちゃんと最初から説明してよ。知らなかった?知らないハズないでしょ?下見をしたのはあなたでしょ?最初に来た時から、こんな感じでしょ?たまたまかと思った?たまたまって。あなたが下見した日って、とびっきりの上天気だったじゃない。これまで締め切ってたから、そのせいだと思ったって?だから、3年締め切ってたわけでしょ?おかしいでしょ?おかしいと思うわよね?おかしいじゃない、そこからして。とにかくやめ、引越しはヤメ。業者さんに電話して荷物運び込むの中止してもらいましょうよ。え?何?電話が通じない?そんな事無いでしょ?駅から5分の立地なのよ。その中に飛び出てるマンションの10階よ?何このマンションアンテナ無いの?やだ、本当だ、圏外だ。おかしいでしょ?おかしいわよね、このマンション自体。もう、じゃあ、早くしたに降りて公衆電話から連絡してよ。え?開かない?ドアが開かないって何?やだ、本当だ、開かないわ。そっちの窓は?窓もダメ?開かないの?きゃ!この窓何?錆び付いてるじゃない!いまどき、鉄枠の窓ってなんなのよ!もうやだ!開けてよ!あなた、早く開けて!え?なに?この音何?この女の人がすすり泣くような!いやっ!誰!あの人誰なのっ!いつの間にここに入ったの?開けて、開けてよ!だれかっ!たすけてっ!だれか・・・いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!









ア、ゴクロウサマデス

ニモツソコニオイテクダサイ

アリガト

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2010-02-05 (金)

[]匣女*1 14:25 匣女*1 - ことだまり を含むブックマーク はてなブックマーク - 匣女*1 - ことだまり 匣女*1 - ことだまり のブックマークコメント

「なんだ、この女」

それが最初の印象。

朝の通勤ラッシュ。満員電車

俺の前に立っているのは、小さめのポリ袋に、ケーキ等を買った時についてくる様な小さな保冷剤を山ほど詰め込んで、しっかりと抱えている女。

保冷剤が、しっかりと固まっているところをみると、何かを冷やして運んでいるのだろう。

だが、そんな薄っぺらなポリ袋に詰めていては、冷たくてしょうがないだろうに、女は身動ぎ一つせず、ただしっかりとポリ袋を抱えている。

一体何を運んでいるのか。

ガタン。

電車が大きく揺れる。

ぎゅうぎゅう詰めの乗客も大きく揺れ、俺もその女も危うく倒れそうになる。

その刹那、袋の中身がちらりと見える。

匣?

発泡スチロールの匣。

これも野沢菜アイスクリームを持ち帰るときにもらうような小さな発泡スチロールの匣である。

これを冷やしてるのか?

だが女は、表情も変えずに体制を立て直すと、またしっかりとポリ袋を抱えている。

そうそう大きなサイズではないが、すし詰め満員電車では、はっきり言って邪魔である。

丁度、匣を押し付けられている形になっている老人が、邪険な目で何度も女のほうを見る。

が。

女ははやり無表情で立ち続ける。

老人が何度目かで女を見て、流石に何か言おうとしたとき、次の駅への到着を知らせるアナウンスとともに、電車はガクンと減速する。

老人はきっかけを失い、電車はそのまま、駅のホームに滑り込む。

ドアが開く。

大勢の人が降りる。

自分もいったんホームに降り、降りる人をやり過ごすと、再び電車に乗り込む。

気づけば、女の姿はない。

ここが目的の駅だったのか。

この駅に降りた人たちが改札に向かう階段を上っていく。

その中に女の姿を探してみるが、あっという間に別な乗客が電車に詰め込まれ、俺はその女の事は忘れ去る。


その晩。

疲れて帰ってテレビをつける。

いつものニュースをやっている。

俺の好みの胸のでかい女性キャスターが深刻な顔で告げる。

『次のニュースです。

 ○○○○さんを殺害し、その局部を切り取って持ち去ったとして全国に指名手配をされていた□□□容疑者が、本日、凸凸線の電車内で発見され鉄道警察隊によって緊急逮捕されました。』

凸凸線といえば、俺が通勤に使っている路線だ。

いったい、どんな容疑者だ、とテレビを見ると、そこに映し出されていたのは、あの匣を抱えた女だった。

そうか。

俺は得心した。

あの匣の中身は、好きな男のイチモツだったわけだ。

してみると、あの匣女は現代版の阿部定だったのか。

そう思って思い返せば、必死で抱えていたわけもわかった気がした。

それにしても

俺は思った。

発泡スチロールの匣の周りに保冷剤じゃだめじゃん。

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*1文字化けしてる人へ:はこは”はこがまえ”に甲

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2009-12-17 (木)

[]覗き見 13:31 覗き見 - ことだまり を含むブックマーク はてなブックマーク - 覗き見 - ことだまり 覗き見 - ことだまり のブックマークコメント

ててててっ

また、今日は混んでるなぁ

わわわっ、おばちゃん、睨むな睨むな

俺だって、あんたなんか触りたくもないよ

なんだよ、隣のオヤジ、じゃまだなぁ

って、メール打ってるのかよっ!

この混んでる電車の中で、ヤメロヨォなぁ、もう

ん?


昨日はお祝いのメール、ありがとう。

あの後、色々あったので返事できずゴメンナサイ


あー、こいつ、女にメールしてやがんな

ナニナニ?


夜は、祝勝会と称して、某GMと凍りつくような楽しい飲み会でした

本当は新井ちゃんと飲みたかったな


あらら、口説いてるよ

朝っぱらの満員電車だってーのに

大変だねぇ、新井ちゃんも


本当は新井ちゃんと飲みたかったな


あれっ?消した


今度、野間班長と新井ちゃんとでセッティングするから、飲みに行こうよ


わはははははは

何か、無難な人を挟んだぞ

意識しているのは、こいつの方だけって事か

で、三人で何するんだよ

ん?

ん?

なんだよ、長考してるじゃねぇか

無難なやつ入れてみたけど、共通の話題がないってか

まあなぁ、女口説くのに、中途半端な媒がいたんじゃヤリ難いわな

おっ、手が動いた

なになに?


聞かせてよ


ほお

何が聞きたいんだ?

俺のこと、どう思ってるの?ってか?

いやぁ、どうも思ってねーだろなぁ

草臥れた感じといい、軽く香る加齢臭といい


聞かせてよ世田谷線のうんちくを


な、なんだそりゃ?

しかも、なんで倒置法?

あ、なんだ、そのまま送っちまいやんの

なんだかなぁ

変なオヤジ無難な班長と飲みに行って、世田谷線について語らなきゃならんとは、新井ちゃんも大変だねぇ


お?お?

返事来たのか?

ちがうな、受信済みのメールだな

パスワードかけてやがるよ

読まれちゃ嫌な人でもいるのか?

妻帯者か?

このオヤジ

それにしちゃ、格好がクタビレスギだろう

かまってもらってないのかもね

ああ、何か読み出したな


昨日は、お疲れ様でした。

チーム優勝とのこと、オメデトウございます!

〇〇さんも、サポート大変でしたね


あー、これが新井ちゃんのメールかぁ

しかし・・・絵文字満載だな

その前のメール探して読んでる


お疲れ様です。

交通費領収書が、足りませんでした。


いや、これ、これも絵文字満載だけど

事務連絡だろ…

あー、次も…

次もだ…

絵文字はいっぱいだけど、ほとんど事務連絡ぢゃん!

メール問い合わせしてる

返事来て…ないよなぁ

新井ちゃん、基本、事務連絡だけだもんなぁ


オヤジさぁ

かわいそうだけど

新井ちゃん、脈ないよ




あ、駅だ

たった1通で人を動かすメールの仕掛け (青春新書PLAY BOOKS)

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2009-11-10 (火)

[]発○小町16:31 発○小町風 - ことだまり を含むブックマーク はてなブックマーク - 発○小町風 - ことだまり 発○小町風 - ことだまり のブックマークコメント

恋愛結婚離婚

(トピ)夫と冷静に話がしたい  ゆんゆん


初めての投稿です。

どうして良いか困っているので、アドバイスを頂けると嬉しいです。


夫が私のした事に腹を立てていて、何日も口もきいてくれません。

先日、黙って離婚届を渡されたのですが、私は別れたくありません。

何とか、夫に冷静になってもらって、話を聞いてもらうにはどうすればよいでしょうか?

少しややこしいので、長くなりますが、出来るだけ順を追って書いていきます。


夫は36才、私は24才です。

私が在学中に知り合い、私の卒業を待って結婚しましたので、結婚してから2年半位になります。

専業主婦で、子供はまだいません。

夫には、年の離れた19才の弟さんがいて、私達と一緒に暮らしています。

夫は、弟さんが生まれてすぐお義母さんを、私と知り合う少し前にお義父さんを無くしているので、結婚を申し込まれたときから、弟さんも一緒に住ませて欲しいと言われていました。


弟さんとは、夫とつきあい始めた頃から、夫がデートに連れてきていたりしたので顔見知りでしたし、趣味が夫と同じ音楽映画で、私の趣味とも話が合ったので、一緒に住むと聞いたときも特に違和感はありませんでした。

また、夫の家は、ちょっと田舎の旧家なので、部屋だけは沢山あり、弟さんは、離れの部屋を使っているので、その点でも気にしていませんでした。


夫は、ソフトウェア関係の仕事で、毎日帰りが遅いのですが、弟さんは近所のコンビニバイトをしています。

本当は、正社員として働きたいのですが、高卒では難しいそうです。

夫は、大学へ行くならお金を出すと言ったそうですが、夫の年収もあまり高い方ではなく、結婚する夫と私に気を遣って、自分バイトで貯めて夜学に行くので、いらないと断ったそうです。

夫は太るからと夕食は済ませてくるのですが、私自身が料理が好きな事もあって、夕食は簡単な物を作って、弟さんと食べています。

夫も私と弟さんが仲が良いのは気に入っているようで、弟さんに

「俺の留守中は、しっかりお前が守れよ」

などと言っていました。


それは、2週間程前の事です。

夫は、私が朝早く起きて夫と弟さんの弁当を作っているので、夜は帰りを待たずに寝るようにと言ってくれています。

結婚して暫くは、帰ってくるまで起きていたのですが、夜中の2時、3時を過ぎることも多く、朝は時間通りに出勤する為、5時くらいからはお弁当を作らないといけないので、体が持たず、倒れてしまった事が有ります。

お恥ずかしいことに、私はどうしても6時間くらい寝ていないと持たない体質のようで、それからは夫の言葉に甘えることにしています。

その日も、11時位に布団に入って休もうとしてたときの事です。

「義姉さん、相談があるんだけど」

と、弟さんが声を掛けてきました。

私達の部屋は、前にも書いたとおり、旧家なので、部屋の仕切りもふすまと障子だけです。

「どうしたの?」

と、布団から起き上がると、障子の向こう側に弟さんの気配がします。

が、なにか言い難そうな相談の様で、何時までも話し始めません。

いつも明るく元気の良い弟さんとは違っていて、本当に困っている気配が伝わってきます。

そこで、私は思いきって言いました。

「○ちゃん(弟さんの名前です)、いつも、○ちゃんには□(夫の名前です)に変わって、いろいろ手伝ってもらっているから、私を本当のお姉さんだと思って、何でも相談して頂戴。」

それでも、暫く、弟さんは迷っていたようですが、やがて、意を決したのか、こんな事を相談してきました。


弟さんには、高校時代から付き合っている彼女がいます。

私も会ったことがありますが、なかなか気の利く、良い子です。

彼女就職しているのですが、今年の夏、とうとう弟さんと、男女の関係になったのだそうです。

そう言えば、夏に友達の家に泊まるからと、帰ってこなかった日が確かにありました。

突然の話にちょっと驚きましたが、私自身、夫と初めて関係したのは20になってすぐでしたから、19才も後半の弟さんとはそう変わらず、そこはとやかく言えません。

問題は、その時、弟さんも彼女も初めての経験だったので、勝手が分からず困った弟さんは、なんと自分が見たAVの真似をしたのだそうです。

ここでは、詳しく説明できないですが、話を聞いてみると、女の子からしてみると、最初からそれは無いでしょうと思える事でした。

それで、その日は彼女が怒ってしまって、最後まで至らなかったのだそうです。

幸い、平謝りに謝って、物で釣ったりもして、何とか彼女は機嫌を直してくれたのだそうですが、実は、近く、また、旅行に行くことになっていて今度こそ、ちゃんとしたいと思っているのだそうでした。


そこまでは、私もニヤニヤしながら聞いていたのですが、本題の弟さんの頼みを聞いて、ドキッとしました。

その頼みというのは、どうすれば、ちゃんと出来るのか、教えて欲しいというのです。

私自身、夫が初めてだったので、教えるほどの経験はないのですが、夫は私の前に何人かの女性とも付き合っていたので、私と夫が初めてした時、私自身は夫はちゃんとリードしてくれて、優しくしてくれたと思いました。

ですから、私は、最初、夫に聞いてみれば、と返事をしたのですが、弟さんは、夫だとふざけてちゃんと教えてくれないだろうし、何より、そんなこと、早すぎると怒られるから嫌だと言うのです。

確かに、夫はそんなに堅い人間ではないのですが、弟さんに対しては、親代わりという思いもあるのか、いつも厳しいことを言います。

なので、弟さんの気持ちも分かる気もしました。

本当なら、そこで、やっぱり、まだ早いよと言うべきだったのでしょう。

でも、旅行をOKしていると言うことは、彼女も一寸期待しているのでしょう。

私は、自分の初めてのことも思い出して、つい、弟さんに、じゃあ、私の経験で良ければ、話してあげると言ってしまったのです。


もちろん、最初は、話だけのつもりでした。

それでも、障子越しでは聞きづらいですし、一軒家とはいえ、あまり大きな声でその事を話すのも恥ずかしかったので、兎に角、部屋に入っておいでと言いました。

私は、パジャマ代わりにユニクロのスウェット上下を着ていたので、まあ、大丈夫だろうと思っていました。

弟さんは、恥ずかしそうにもじもじしながら障子を開けて入ってくると、私の前にちょこんと座りました。

それから、私は自分の体験を話し始めました。

もちろん、夫とのことを事細かに話すのではなく、

「その時は、乱暴にしないでそっと触ってあげた方が良いかな?」

みたいに、出来るだけ客観的に話をしました。

ですが、やっぱり、こう言うことは、説明だけでは解りにくいです。

それも、妄想だけたくましくて、経験のない男の子に話すのだから尚更です。

まったくとんちんかんなことを言う弟さんにじれったくなった私は、

「だから、その時は、手はここ!」

と言うように、弟さんの手を実際にその場所の近くに置いて説明しました。


しかし、断っておきますが、あくまで説明用に軽くタッチする程度で手を置いただけです。

弟さんも、それは解っていて、私が引っ張れば、軽くタッチしますが、すぐに手を引っ込めて、真剣に話を聞いていました。

やがて一通り話し終えると、弟さんはお礼を言って自分の部屋に戻っていきました。

私も、弟さんに、くれぐれも妊娠とかには十分注意してあげる様に言って、布団に戻りました。

約1時間くらい説明していたでしょうか?

どっと疲れてしまったのですが、なんだか、体の芯が火照ってしまって、眠れなくなってしまいました。

結局、その日は、夫が帰るまで待って、疲れているんだという夫に我が儘を言って、してもらいました。

次の日、お弁当を作るために起き上がるのが大変でした。


話が脱線してしまいました。

ごめんなさい。


実際に事件が起こったのは、その一週間後でした。

その日も休もうとしている私のところに弟さんがやって来ました。

彼女との旅行は、その週末の筈でしたが、細かいところなんだけど、もう一寸だけ聞きたいことがある、と言うのです。

私は、前の事があったので、どうしようかなと思いましたが、逆にここで照れると気まずくなると思い、わざと明るく

「何でもお義姉さんに聞きなさい。手取り足取り教えてあげるわよ」

と答えました。

すると、急に弟さんは顔を真っ赤にして、もじもじし始めたのです。

それを見て、私は、あまりここで時間がかかると、私も恥ずかしくなりそうだったので、わざと元気よく

「ほら、何でも言いなさい。早くしないと、教えないぞ」

と言ったのです。

すると、弟さんは、真っ赤になりながらも慌てて聞いてきたのですが、それは、その、まさに一緒になるときの事でした。

流石に私も、その辺りはやんわりと流してしまいましたし、弟さんも自分で、またAVを見たようなのですが、やっぱりAVは違うと思い、迷った挙げ句、もう一度、聞いてきたようなのです。

私も、流石に顔から火が出る程、恥ずかしくなったのですが、自分からけしかけておいて、今更知らないというのもかわいそうだと思い、じゃあ、簡単にね、と説明を始めました。


ですが、やっぱり、話だけではなかなか伝わりません。

私も恥ずかしいのを我慢しているので、あまり時間がかかると、また、火照ってきてしまいそうな感じがし始めました。

そこで、私は思いきった事をする事にしました。

「じゃあ、ほら、私に覆い被さってきて」

と、弟さんの手を引いたのです。

弟さんも、少し体をこわばらせましたが、素直に私に覆い被さってきました。

もちろん、二人は服を着たままですので、あくまで真似事です。

「そうするとね、大体、この辺りに女の子の・・・」

私が説明し始めたときです。

「何をしているんだ!」

突然、ふすまが開いて怒鳴り声がしました。

夫が珍しく、早く帰ってきたのです。

私と弟さんは、慌てて離れました。

そして、事情を説明しようとしたのですが、

「仲が良いと思ってはいたが、お前達、そういう関係なのか!

 だったら、好きにするが良い!」

そう言い放つと、家を出て行ってしまったのです。

私も、弟さんも必死で夫の後を追いかけましたが、間に合いませんでした。


翌日、夫は帰ってきましたが、一言も口をききません。

朝ご飯も食べませんし、弁当も持って行きません。

もちろん、寝るのも別の部屋です。

弟さんも、旅行は取りやめて、夫に説明してくれようとしているのですが、弟さんの話も聞かない様です。

そんな状況で、先日の離婚届です。


私は、夫を愛しています。

弟さんのことは、単純に夫の弟としか見ていません。

弟さんも、当然、私のことは義姉としか思っていません。

本当に、この前のことは、言ってみれば調子にのって、悪ふざけが過ぎただけなのです。

説明をちゃんと聞いてもらえれば、夫も解って許してくれると思います。

どうか、どうすれば夫に説明を聞いてもらえるか、皆さんのお知恵をお貸し下さい。



古いレス

タイトル


じっくりと心を割って話せば大丈夫  ぽち


  ゆんゆんさん、成り行きとはいえ、大変な事になりましたね。

  でも、元は、優しい旦那様なのでしょう?

  だったら、殴られてもすがりついても良いので、無理矢理でも話を聞いてもらいましょう。


  大丈夫ですよ。

  ご主人の愛を信じましょう。


諦めなさい  通りすがり


  これほど怒ると言うことは、それだけあなたに裏切られたという思いが強いと言うことです。

  あなたにとっては、ただの過ちでも、旦那さんにとっては手ひどい裏切りだった訳です。

  もう、元には戻らないでしょう。

  最後くらい旦那様の言うとおり、黙って慰謝料ももらわず別れてあげて下さい。



この腐れマ(y  間男


  何、調子の良いこと言ってやがる。

  お前の魂胆は見え見えだ。

  若い方に興味があったから、体も火照ったんだろう。

  旦那も、お前に引っかからなくて、ホッとしてるだろうよ。

  ふざけるな。



がんばれ  はまちゃん


  そして、おいらにも愛をわけてください。

  お幸せに。


発言小町

発言小町

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2009-10-09 (金)

[]はーどろっくかふぇ 15:45 はーどろっくかふぇ - ことだまり を含むブックマーク はてなブックマーク - はーどろっくかふぇ - ことだまり はーどろっくかふぇ - ことだまり のブックマークコメント

三脚の上に石綿付き金網を置き、その上に慎重に三角フラスコを乗せる。

三脚の下にアルコールランプを置き、蓋を取って着火する。

ついこの前まで茹だるような暑さだったこの物理教室の準備室は、校舎の北の端にあって日光があまり当たらないせいか、なんだかもう薄ら寒い

隣の物理教室からは、派手なギター音色に合わせて、調子っぱずれのワサオの歌が聞こえてくる。

ついこの前までは、エルビス・コステロに嵌っていたくせに、昨日、学校をさぼってコンサートに行った「Devo」とかいうバンドにすっっかり嵌ってしまった。

「これからのロックは、ニューウェイヴだ!」

そうで、

「けんけんのー さてぃーふぁくちょん!」

等と叫んでいる。

驚いたことに、その歌は、ローリングストーンズの「Satisfaction」のカヴァーなのだそうだが、かの名曲も面影は微塵もない歌に変えられている。

ボク的には、このままエルビス・コステロに嵌っていて欲しかったのだが、その前に、レッド・ツェッペッリンからエルビスに乗り換えるまでも1~2週間だったから、同じくらいで新しいネタを見つけてくるのだろう。

中間テスト直前の土曜の午後。

いつもの土曜日なら、グランド体育館、道場から、部活連中の声で煩いくらいの校内も、今日は静かだ。

進学校として名を馳せたこの高校で、まだ、学校に残っているのは、図書館勉強している連中を除けば、僕等以外にはいないのだろう。

さて、三角フラスコの中に、ぽこぽこと小さな泡が立ち始めるのを見て、ボクはもう一つ三脚を取り出し、そこにガラス製のロートを置く。

ロートの下には大きめのビーカーを置く。

ロートの中に、ろ紙を入れると、おもむろに別に炒って冷蔵庫で熱を取っていた珈琲豆と手回しのミルを取り出し、きっちりと計量スプーンで豆を計ってコーヒーミルに入れる。

コーヒーミルの取っ手を回すと、準備室中にコーヒーの香りが広がる。

物理教室から聞こえるワサオの声は、既に歌ではない。

ワサオの話に因れば、「Devo」は演奏が最高潮になると、衣装である紙製のつなぎを破って、会場に放り投げるそうなので、そろそろクライマックスなのだろう。

ただし、紙製のつなぎなど準備できないので、今ちぎって投げているであろう物は、文化祭で余った模造紙だと思うけれど。

そうこうしているうちに、三角フラスコの中の泡が、液体の表面だけでなく、内部からも気化する現象を起こし始める。

つまり沸騰したわけだ。

あまり激しく沸騰させると、三角フラスコの特性上、口からお湯を噴いてしまうので、ボクは急いでアルコールランプの火を消す。

そうして、コーヒーミルの引出を開いて、挽きたてのコーヒーを漏斗に入れ、耐熱用の手袋をして三角フラスコを掴むと、ゆっくりと漏斗の中にお湯を注ぐ。

この時、一気にお湯を注ぐのではなく、珈琲の中心から少しずつ回すようにお湯を注ぎ、全体にお湯がしみこんだところでお湯を注ぐのを止め、少し待つ。

珈琲を蒸らすのである。

30秒ほど蒸らした後、再びお湯をゆっくりと注ぐ。

珈琲がろ紙を通って下のビーカーに落ちていく速度を考え、多からず少なからず、珈琲の層を十分な時間を掛けてビーカーに落ちていくよう気を配る。

その頃のワサオと言えば、もうすっかり「世界」に入り込んでおり、叫声と共にどっすんばったんと跳んだりはねたりしている音が響いている。

エレキギターの音も、既に音楽ではなく、ジャーンとかバーンとか、あるいはビビビビビと言うただのノイズに成り果てている。

「そろそろかな。」

とボクは呟く。

と、ほぼ同時に、やや遠くから

「タン、タン、タン、タン」

という音が段々と近づいてくる。

足音である。

古い木造校舎なので、かなり遠くの足音も響いてくる。

特に、今日のように学校中に人がいない日には尚更だ。

「タン、タン、タン、タン」

という足音は、

「ダン、ダン、ダン、ダン」

という足音に変わる。

一階からこの二階の物理教室に向かって、階段を駆け上がってきているのだろう。

ボクは、ゆっくりとまだ少し珈琲が残っている漏斗をビーカーから外す。

珈琲の最後には、アクが残っていて、最後まで落としてしまうとその苦みが入ってしまうからだ。

次に、実験用のウォーマーで暖めておいた珈琲カップを三つ取り出し、なみなみ珈琲が入ったビーカーからひとつひとつ珈琲を注いでいく。

その頃、足音は

「ダン!」

階段の最後の一段を昇り終える。

そこから、物理教室までは、ダッシュで約三秒。

「ダッ、ダッ、ダッ、ダッ、ダッ、ダッ、ガラガラッ」

で、おきまりの怒声が響く。

「こぉらぁ!渡邊ぇ!いい加減にせんかぁ!」

渡邊というのは、渡邊定雄。つまりワサオの事である。

ちなみに、某有名ジャズサックスの奏者とは、何の関係もない。

「うわっ!鬼がわら・・・じゃねぇ」

確かに。

鬼がわらではなく、物理顧問、菅原先生である。

「だぁれが鬼がわらだ!ここはコンサートホールじゃねぇ!

 エレキギターなんぞ持ち込むなと、何回言わせれば気が済むンだぁ!

 しかも、中間前だぞ、のんきにハードロックなんか弾いてる暇有るのかぁ?」

ハードロックじゃねぇ!ニュー・ウェイヴだ!」

「ニュー・ウェイヴだかなんだか知らんが、そんなモンは、試験で点取ってからやれ!

 お前、このままじゃ、三年になれんぞ!」

「良いよ!そしたら、学校止めて、バンドで喰っていくから!」

「なにぃ!ふざけた事抜かしてないで、さっさとギターこっちによこせ!

 没収だ!」

「うるせー!

 ギターロッカーの命だ!

 鬼がわらになんて、わたさねーぞ!」

「なんだとぉ?」

段々と話がいつもの展開になってきたところで、ボクは三つのコーヒーカップを右手に一つ、左手に二つ器用に持って、足で準備室の扉をがらがらと開ける。

これまた古い扉なので、本当にマンガのように

ガラガラ

と大きな音を立てる。

その音に、にらみ合っていたワサオと鬼がわらの二人がボクの方を見る。

ボクは満面の笑みを浮かべて言う。

「まあまあ、二人とも、珈琲でも飲んで落ち着いて話をしましょうよ。」

篠田ぁ!」

鬼がわらが、ボクの名前を呼ぶ。

「お前、そんなことで俺をごまかそう何て・・・」

そこまで言って、鬼がわらの声が途切れる。

みれば、鼻をひくひくさせて珈琲の臭いを嗅いでいるのだ。

気付けば、ワサオも鼻をひくひくさせている。

ボクはもう一回、にっこり笑うと、そばの実験卓にコーヒーカップを置きながら言う。

「そう、薫り高いキリマンジャロです。

 しかも、炒りたて挽きたてですよ。」

すると、あれほどいがみ合っていた二人が、黙ってすっと席に着く。

そう、実は、二人とも無類のコーヒー好きなのだ。

ミルク入れますか?」

「いや、ブラックで良い」

二人が見事なユニゾンで答える。

それから、二人はこれまた見事なシンクロを見せて、深くコーヒーの香りを吸い込むと、

「はぁ~」

と軽くため息をつき、次におもむろにカップに手を掛けると、そっとコーヒーを一口味わってから、再び

「はぁ~」

と、ため息をついた。

二人が大人しくコーヒーを味わっているのを見計らって、ボクはもう一度準備室に引き返し、冷蔵庫仕舞っておいたある物を取り出すと二人の前に差し出した。

怪訝な顔でボクの方を見る二人。

モロゾフの新製品チーズタルト

 昨日、買ってきたんですが、如何でしょ?」

二人とも怪訝な顔のままチーズタルトを掴むと、ぱくりと口に頬張り、

「むぉ~」

と、声とも唸りとも付かない音を出す。

二人とも気に入ったようだ。

その様子を見て、ボクも席に着き、コーヒーチーズタルトを味わった。

一般には、チーズ自体が好き嫌いが別れる食品なのだが、このチーズタルトは適度な甘みとクリーミーな口当たりで、チーズ嫌いの人にも受け入れられるだろうと思った。

もちろん、コーヒーにも合う。

暫く、そうやって三人黙ったまま、コーヒーチーズタルトを味わった。

いつしか、夕日が山の端にかかり、物理教室から見える空もあかね色に染まっていた。

やがて、チーズタルトを綺麗に食べ終わり、コーヒーの最後の一口を飲み干した鬼がわらが、立ち上がって言う。

「うまかった!

 腹もくちくなったし、俺はそろそろ帰る。

 お前らも、いい加減、家に帰れよ。」

そう言って歩き出した鬼がわらだったが、急にくるりと振り返ってワサオを見て言った。

「渡邊、ロックも良いけどな、そろそろ真面目に自分の将来、考えろよ。

 中間試験が終われば、すぐに理系文系クラス分けだし、志望校も出さないといけないんだぞ」

「解ってるよ!」

 ワサオは、低い声で答える。

 鬼がわらは、頭をぼりぼりと掻きながら窓の外を見る。

「まあなぁ、今すぐ将来がなんだ、志望校がなんだと決めるのも、無茶な話なんだがな。」

 鬼がわらの言葉に、ボクとワサオは「えっ」という顔をして、鬼がわらを見た。

「いろいろやりたい事がある時期だしなぁ。」

 鬼がわらは、腕組みをして窓の外を見ながら、そう呟く。

 その言葉は、ボクやワサオに言っているのではなく、なんだか自分自身に言い聞かせているようにも聞こえる。

 と、鬼がわらは、もう一度ボクらの方に向き直った。

「まあ、兎に角、たまには真剣にそう言う事を考えてみるのも、良いモンだぞ。

 じゃ、試験の点もしっかり取れよ。」

 そう言い残して、鬼がわらは物理教室を出て行った。

 ボクとワサオは、暫くぽかんとして、鬼がわらが出て行ったドアを見ていたが、やがてぼそりとワサオが呟いた。

「なんだそりゃ。」

「ぷはっ!」

 ボクは、思わず、その神妙なワサオの顔に噴いてしまった。

「な、なんだよぅ。何がおかしい!」

 最初は起こっていたワサオだったが、やがて一緒になって腹を抱えて笑い出した。

 何がおかしいのかよく分からなかったが、強いて言えば、今の自分たちの微妙な立場や、鬼がわらが一人でしんみりと呟いた言葉が、どれもこれも青臭くてこそばゆいような感じがしたからかも知れない。

 ひとしきり笑った後、ボクらは顔を見合わせていった。

「まあ、今日のところは、帰りますか。」

「よし、帰ろう!」

 その後、ワサオが勉強したのかどうかは解らないし、ましてや自分の将来を真剣に考えたのかどうか、解らない。

 ボク自身、その日が特別な日だとは思ってはいなかった。

 だけど。

 考えてみると、きっとあの日だと思うのだ。

 ワサオがあの仕事に就くきっかけになったのは。

 そしてそれは、今のボクらを大変な事に巻き込んでしまうのだけれど、少なくとも一九七五年のあの日、ボクらはその日の晩ご飯と、さっき食べたモロゾフチーズタルトの味とコーヒーの苦み以外、なーんも考えてはいなかったのである。

                           

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2009-09-02 (水)

[]トリック 12:15 トリック - ことだまり を含むブックマーク はてなブックマーク - トリック - ことだまり トリック - ことだまり のブックマークコメント

純粋な降霊会とお聞きしておりましたが、どうやらお話しが違うようですね。

 ジョンソン卿」

 マクレガー婦人は、部屋に入るなりそう言い放つとジョンソン卿を睨みつける。

 マクレガー婦人は、今、ロンドンで最も高名な霊媒師であり、婦人の協力により、いくつかの難事件が解決している。

 もっとも、スコットランドヤードは、婦人の協力を得たという事実を認めていないが。

 慌てたのは、ジョンソン卿である。

 ある思惑の元に開催された今日の降霊会、もちろんマクレガー婦人が来てくれる事こそ重要なのだが、このままではマクレガー婦人の機嫌を損ねてしまうと、言い訳を始める。

「い、いやその、まさかそんな事はございません。

 本日は、ご高名な婦人の神秘の御技を拝見しようと、純粋科学な見地から」

 だが、その言葉を婦人が遮る。

「そちらにいらっしゃるのは、ロンドンタイムスのロジャーマクガフィン様。

 この科学の世に降霊などあり得ないという記事をいくつもお書きになっていらっしゃる方です。

 そちらは、先日もお会い致しましたスコットランドヤードレインポッパー警部様。

 警察では非常に紳士的な対応をして頂いておりますが、一貫して事件の解決には私の力は不要と仰っておられます。

 もう一人の方は存じ上げませんが、この様に霊の存在に懐疑的なお二人がいらっしゃると言うだけで、純粋科学の見地とは言い難いと思いますが如何でしょう?」

 ジョンソン卿は、目を白黒させて冷や汗を掻いている。

 そこについと前に出てきたのは、婦人に存じ上げませんがと言われたもう一人の男である。

ボンジュールマダムマクレガー

 私、仏蘭西マジシャンをやっております、リオネルカミュと申します。」

 カミュと名乗った男は、マクレガー婦人の手を取ると、跪いて手の甲にキスをする。

マジシャンですの?」

 キスを受けながら、マクレガー婦人は、明らかに不快な顔をする。

 それを見て、カミュは笑いながら言う。

「いえ、マジシャンと申しましたが、本職はアルザス地方の小さな大学教授なのです。

 本職だけではなかなか食べては行けず、生活のためにマジックなどを披露して糊口を凌いでいるのですが、何時の間にやらそちらの方が中心になってしまいまして。

 ですが、今でも仏蘭西王立科学協会の心理学派には属しておりまして、今回、ジョンソン卿に無理を言ってマクレガー婦人をお呼び頂くようお願いしましたのは、私なのです。

 もし、少しばかりお時間を頂けるなら、従者に申しまして、私のホテルから王立科学協会に属しているという証明になるモノを持ってこさせますが、如何でしょう?」

 その言葉に、しばらくの間、目を細めてカミュの方を見ていたマクレガー婦人は、やがてこう言う。

「いえ、その必要はございません。」

「は?」

「あなたの、御爺様に伺いました。」

「お、御爺様ですか?」

 カミュは目を丸して驚く。

 だが、マクレガー婦人は、そんなカミュを気にするでもなく、じっと、カミュの少し上の空間を見ながら言う。

「御爺様が、マジシャンだったのですね。

 どうやらあなたは、御爺様のマジックの才能を受け継いで居られるらしい。

 大学教授の件も、王立科学協会の件も間違いないと、あなたの御爺様が言っておられます。

 御爺様は、白い口髭を蓄えて居られますね。

 口元に、やや目立った傷跡があるのは、ご幼少の頃、兎狩りをしていてお怪我をなされた様です。

 違いますか?」

「お、驚いた。

 まさにその通りです。

 私は、祖父からマジックを教わりました。

 祖父は、常に口髭を蓄え、幼い頃に負った傷を、いつも自慢しておりました。

 この傷の御陰で、とんでもない大物に出会えたと。」

 マクレガー婦人は、大袈裟過ぎるほど驚くカミュににっこりと微笑むと、こう言った。

「今回の降霊会は、あなたから言い出した事、そう御爺様が仰っています。」

 カミュは、激しく頷いて答えた。

「仰るとおりです。

 私が心理学派へ提出する論文に、是非、降霊に関する研究を発表したいと思い、私がジョンソン卿にマクレガー婦人をご紹介いただける様、お願いしたのです。

 これまでにも何人かの自称霊媒師に会ってきたのですが、いずれもマジックと言うにも陳腐なほどのインチキ霊媒師でした。

 しかし、マクレガー婦人なら間違いないと、ジョンソン卿が仰って。」

「まあ、そうでしたか。」

 マクレガー婦人は、ジョンソン卿の方を見る。

 ジョンソン卿も、そうなのですとばかりに激しく頷いた。

ポッパー警部と、マクガフィン記者に立ち会って頂く様お願いしたのも、私です。

 出来るだけ、忠実に見たままを証言してくださる方をとジョンソン卿にお尋ねしたところ、紹介いただいたのがこのお二人だったのです。」

 カミュ言葉に、ポッパー警部は一歩前に出て、マクレガー婦人に手を差し出しながら言う。

マクレガー婦人。

 カミュ氏の言うとおりです。

 私はあなたを貶めるためにここに来たのではありません。

 捜査の時と同様、ありのまま、起こった事全てを客観的に判断させて頂くため、ここに参ったのです。」

 そうして、婦人と軽く握手を交わす。

 マクガフィンは、椅子に座ったまま、じろりと婦人の方を見て言う。

「確かに私はこれまで、降霊術について手厳しい記事を書いてきた。

 しかし、それは、これまで見た降霊術とやらが、あからさまにインチキだったからだ。

 言っておくが、だからといって記事に邪推や私怨を挟んだ事は一度もない。

 あなたがやる降霊術とやらが、疑念の余地の無いものであれば、そう書くだけだ。」

 それを聞いたマクレガー婦人は、頷いてから言った。

「皆様のご希望、お立場はよく分かりました。

 私としましても、真摯な態度で科学的に降霊会を分析し、世間に広めて頂けるのは有難い事だと思います。

 私が皆様のお役に立てるのなら、喜ばしい限りです。」

 それを聞いて、ジョンソン卿の顔がぱっと明るくなる。

「おお、それでは。」

 マクレガー婦人は、こっくりと頷いて答える。

「降霊会には、星の力が大きく影響いたします。

 余計な事で、時間を費やしてしまいました。

 早速、降霊の儀に移りましょう。」


 降霊会の為に準備された部屋はカーテンがぴっちりと閉ざされており、部屋の真ん中に置かれた丸テーブルの上にあるローソク一本だけが唯一の明かりである。

 丸テーブルの上には、太く白チョーク五芒星が描かれている。

 その頂点にの中で、真北を指している場所にマクレガー婦人が、そこから時計回りジョンソン卿、ポッパー警部マクガフィンそしてカミュの順に座った。

 一同が座ると、マクレガー婦人が厳かな声で言う。

「これより、降霊の儀を始めます。

 まず、最初に注意がございます。

 これから、お互いに隣の方の手を握ってテーブルを丸く囲っていただきますが、私が良いと言うまで、決して手を離さないでください。

 霊というのは、確かに元は人間でしたが、今はこの世界のモノではありません。

 急にどの様な動きをするのか、全く解りません。

 しかし、お互いが手を繋ぎ結界を張っている限り、霊がこの世に躍り出て何かをしでかす事はございません。

 ですが、誰か一人でも手を離してしまうと、もう、私にもどうする事も出来ません。

 何が起こるのか、誰にも解らないのです。

 ですから、決して、手を離さぬ様、お願いします。

 よろしいですか?」

 全員が黙って頷く中、マクガフィンが、ぼそりと言う。

「確かに、手を握っていれば、おかしな事も出来ないだろうしな。」

マクガフィンさん!」

 ジョンソン卿が気色ばんで言う。

 しかし、マクレガー婦人が、静かに押しとどめる。

ジョンソン卿、良いのです。

 マクガフィンさん、あなたはありのままを受け入れると仰いました。

 どうか、それをお忘れにならないよう。

 今はよろしいですが、降霊の最中に迂闊な事を仰ると、あなたの安全は保証できません。」

 その言葉に、マクガフィンは、何も言わず不機嫌な顔になる。

 マクレガー婦人は、カミュの方を見て言う。

「もし、カミュ様がよろしければ、今日はあなたの御爺様をお呼びしようと思います。

 御爺様はいつもあなたのお側にいらっしゃいますが、直接、あなたに仰りたい事も沢山おありになるようです。

 また、御爺様の話ならば、後にカミュ様が話の真贋をお確かめになる時にお調べになりやすいでしょう。

 如何でしょうか?」

 カミュはその提案に、ぱっと顔を明るくする。

「おお、そうして頂ければ有難いです。

 私も、15の時に御爺様が亡くなられてから、マジックの事で聞いておけば良かった事が沢山ございます。

 また、マジックの話ならば、特に調べずとも、御爺様が話しているのか、全くの作り話なのか、この場で見定める事が出来ますから。

 他の皆さんもそれでかまいませんか?」

 ジョンソン卿は、にっこり笑って答える。

「もちろんです。

 そもそも、カミュさんのご希望で招集した降霊会ですから。

 ねぇ。みなさん?」

 ジョンソン卿は、ポッパー警部警部マクガフィンを見て言う。

 二人も黙って頷き返す。

「わかりました。

 それでは、降霊の儀を始めます。

 皆様、お互いの手をしっかりと握ってください。

 どうかお約束をお忘れにならない様」

 そう言うと、マクレガー婦人は、両手を左右に差し出して目を閉じる。

 それに呼応する形で、他の四人もお互いに手を繋ぐ。

 一瞬の間の後、微かにマクレガー婦人が聞いた事の無い言葉を呟き始める。

 その呟きに呼応するかの様に、段々と中央に置かれたローソクの光が明るくなっていく。

 しかも、不思議な事に、その炎の形がふっくらと膨らんできている様に見える。

 不意に、マクレガー婦人が小さな声で囁く。

「いらっしゃいました」

 とたんに、丸テーブルの上がほんわかと暖かくなる。

 と同時に、蝋燭の上にぼんやりと霞の様な固まりが現れる。

 次の瞬間、カミュが小さく声を上げた。

「あ、あああ、御爺様」

 段々と、霞が人の顔の様に見え始めている。

 よく見れば、優しげな笑みを浮かべ、口髭を蓄えた老人の顔に見える。

「たしかに、ご老人の顔が」

 絞り出す様な声でポッパー警部が言う。

「すばらしい。確かに霊は存在する!」

 興奮気味にジョンソン卿が言う。

 だが、一人、マクガフィンの様子がおかしい。

 青ざめた顔で、小刻みに震えている。

 何か小さく呟いている様だ。

「う、嘘だ、嘘だ、嘘だ・・・。」

 その様子にジョンソン卿が気付く。

「どうしました、マクガフィン記者?」

 マクガフィンジョンソン卿を見る。

 真っ青な顔で震えているのに、汗をびっしょりと掻いている。

マクガフィン記者?」

 ジョンソン卿が、もう一度、声をかけたその時。

「いけません!」

 マクレガー婦人が叫ぶ。

 が、ほぼ同時に、

「こんなモノ、インチキだぁ!!」

そう叫んでマクガフィンが手を振り払って立ち上がる。

バーン

大きな音がして、突然、窓が開き、もの凄い風が吹き込んでくる。

その風で、蝋燭の火が吹き消される。

と、それまで暖かく感じていた部屋の空気が、急に真冬の様に冷え込む。

「どうした!」

「何があったんだ!!」

 暗闇の中で、怒号が飛ぶ。

「落ち着いて!手を離さないで、座っていてください!!」

 マクレガー婦人の声が響く。

 そして。

 バシーン!!

 不意に雷鳴がとどろき、一瞬、部屋の中が稲光で照らされる。

「あっ!」

「おおっ!」

「なんと!」

 それぞれが声を上げる。

 稲光の中、皆の目に飛び込んできたのは、天井近くまで浮かび上がり、首を押さえてもがいているマクガフィンの姿だった。

 再び、部屋の中が真っ暗になった次の瞬間。

 どさっ

 何か重い音がして、それまでもの凄い勢いで吹き込んでいた風がぴたりと止まる。

マクガフィン記者!」

 ジョンソン卿の声がして、立ち上がろうとする気配がするが

ダメッ!そのまま、動かないで!手を繋いでじっとしてっ!」

というマクレガー婦人の声に、動きが止まる。

 そのまま。

 何分くらい過ぎたのだろうか。

 部屋の中に暖かさが戻ってくる。

 そして、静かにマクレガー婦人が言う。

「もう、大丈夫です。

 明かりを、明かりをつけて。早く!」

 誰かが慌ててマッチを擦り、消えた蝋燭に火を灯す。

 ぼうっとしたほの暗い蝋燭の明かりに照らし出された部屋の中は、さっきの風が嘘の様に整然としている。

 ただ一つ、違っていたのは、床に倒れているマクガフィンの姿だけ。

 しかも、その姿は一見して生きていない事が解るほど、不自然なほどに首が曲がっていた。



 数週間後、ロンドン郊外墓地に立つ二人の男の姿があった。

 一人は、ジョンソン卿、そしてもう一人はカミュと名乗っていた男。

カミュさん、御陰で全て終わりました。

 取り調べに時間はかかりましたが、ポッパー警部の計らいで、結局、原因不明の突然死という事でけりが付きました。

 本当に、ありがとうございます。」

 カミュ、と呼ばれた男は、頭を振りながら答える。

ジョンソン卿、カミュというのは、仕事上の名前、今はロジャーと呼んでください。

 もちろん、仏蘭西とは縁もゆかりもございません」

「解りました、ロジャーさん。

 これで、友人のダニエルも浮かばれる事でしょう」

「ご友人でしたか?

 随分とご年配のご友人で」

 ロジャーにそう言われて、ジョンソン卿は笑って言う。

「いえ、実際にマクガフィンに嵌められたのは、ダニエルの父上、リチャード・コンウェイ卿です。

 マクガフィンという男は、今でこそ社会派の強面記者として名が通っていますが、若い頃は随分と無茶な取材をやっていた様なのです。

 それどころか、取材で得たネタを元に、強請たかりをやって結構な額を稼いでいたのです。

 コンウェイ卿も、若い頃の小さな過ちを・・・」

ジョンソン卿」

 ジョンソン卿に昔の怒りが蘇りそうな様子を見て、ロジャーが声をかけた。

「申し訳ない。

 私が余計な事をお聞きしてしまった様ですが、最初のお約束通り、委細はお聞きしない事になっておりますので。」

 それを聞いて、ジョンソン卿もはっとして、少し苦笑いをして言う。

「そうでしたな。

 つい、ダニエルの事を思い出して、熱くなってしまいました。」

「お気持ちお察しいたします。

 ご友人の事を思い出していらっしゃる最中、誠に申し訳ないのですが。」

 ロジャー言葉に、ジョンソン卿は頷く。

「解っております。

 残金の500ポンドはここに」

 ジョンソン卿は、持っていたカバンから重そうな袋を取り出した。

お約束通り、全て金貨です。」

 ロジャーは、その重い袋を片手でひょいと受けとって答える。

「ありがとうございます。

 これで、全て終わりです。

 私どもは、もう二度とあなたの前には現れません。

 それでは、ごきげんようジョンソン卿」

 そう言うと、踵を返して立ち去ろうとするロジャージョンソン卿が、呼びかける。

ロジャーさん」

「なんでしょう?」

 ロジャーは、立ち止まると顔だけジョンソン卿に向けて答える。

 ジョンソン卿は、

「その、何も聞かぬ、とは約束したのだが、今回の仕事は実に見事でした。

 見事すぎて、私ごときには全く仕掛けが解らなかった。

 本当にコンウェイ卿が現れて、マクガフィンを取り殺したのかと思えるほどで」

 ロジャーは、軽く頷くと答える。

「その様に見せるよう、仕掛けを致しましたモノですから。

 それに何かご不満が?」

 ジョンソン卿は、慌てて首を振る。

「不満だ等と、とんでもない!

 スコットランドヤードですら突然死であると判断するほどのお手並み、それどころか、わずかな時間の間に、世間的にもまるでマクガフィン等という人物は、最初から居なかったの様な対応で、何の不満もあろうはずがございません。

 ですが、その何と言うか・・・」

何とも歯切れの悪い言葉で、もごもごと話しているジョンソン卿をみて、ロジャーが言う。

「今回のカラクリをお知りになりたいという事ですか?」

「そう、そうなのです」

 ぱっと顔を明るくして、ジョンソン卿が勢いよく話し出す。

「いや、もちろん、約束をした以上、全てをという訳ではありません。

 ですが、一体どの様にしてみんなの前にコンウェイ卿を出現させ、そして、憎っくきマクガフィンの命を奪ったのか、その一部なりともお教え願いませんでしょうか?」

 その言葉を聞いて、ロジャーは改めてジョンソン卿の方に向き直ると、困ったような顔をして話し始める。

ジョンソン卿。

 私、この仕事ではカミュなどとデタラメ名前を使っておりましたが、一つだけ、嘘では無い事があります。」

「え?」

 ジョンソン卿は、唐突な話に虚を突かれる。

マジシャン生業にして糊口を凌いでいると言う話だけは、本当なのです。」

「ま、マジシャン

 自分の話とどう繋がるのか全く解らないので、ジョンソン卿は、目をぱちくりさせたままである。

「そうです。

 私達の仕事は、私のやっているマジックと同じです。

 有能なマジシャンでない限り、同じマジックを同じ客の前で2度やる事など、あり得ません。

 ましてや、種を明かすなどとは、とんでもない。

 そんな事をしていれば、私のようなヘボマジシャンは、たちまち職を失います。

 今回の仕事も、その程度の仕事だという事です。

 どうか、ご理解を頂きますようお願いします。」

 そう言って、ロジャーがあまたを下げると、どこからかメイド姿の娘が現れ、ロジャーの横でスカートの両端を掴んで、ちょっと会釈する。

 旅支度なのか、フード付きマント羽織っており、そのフードを深くかぶっているために顔は隠れている。

 ロジャーは、その娘に気付くと、手にしていた金貨の袋を渡す。

「なるほど、そうです、そうですねぇ。

 言われてみれば、確かにその通りかも知れません。

 いや、好奇心に任せて無礼なお願いをしてしまい、失礼いたしました。」

 ジョンソン卿が、恐縮して答えると、ロジャーは首を振って言う。

「いえいえ、素晴らしいマジックに対してお客様好奇心を抱くのは当然の事、今回の仕事に対して最高の讃辞を頂いたと思っております。」

「そう思っていただけますと、有難いです。」

 ジョンソン卿は、恐縮して答える。

「いえいえ、こちらこそ、ありがとうございます。

 それでは、これにて」

 ロジャーはそう言うと、ジョンソン卿に軽く会釈をし、再び踵を返すとメイドを連れて歩き始める。

 と、不意に足を止め、少しだけジョンソン卿の方をみて、こう言う。

「ひとつだけ」

「は?」

 黙って見送っていたジョンソン卿が、虚を突かれる。

「ひとつだけ、教えて差し上げましょう。」

「ええっ?良いのですか?」

 ジョンソン卿の顔に笑みが広がる。

 ロジャーは軽く頷く。

「特別です。

 ですが、質問も何も無しです。

 これで、本当に最後です。」

「はい、解っております。

 それで、その教えていただける事とは。」

 ロジャーは、やや間を開けて答える。

「それは、『真実を含んだ嘘は、見破りにくい』という事です」

真実を・・・?そ、それは、どういう意味でしょうか?」

 ロジャーは、振り返らぬまま答える。

「その通りの意味です。

 今回、入り組んだ仕掛け、仕組みの中に一つだけ、真実があります。

 その事は、あなたご自身が、先ほどお話しされた事の中にあります。

 私に今、言えるのはこれだけです。」

「先ほど・・・私が言った言葉・・・。」

 ジョンソン卿は、ぶつぶつと独り言を言う。

「私が、さっき言ったのは・・・。

 ええと、実に見事な仕事で・・・実際に、コンウェイ卿が現れて・・・。

 ああっ!

 そう言う、そう言う事なのですね!」

 ジョンソン卿の顔がぱっと明るくなる。

マクレガー婦人が、マクレガー婦人の力は!」

 感極まってそう叫ぼうとするジョンソン卿を、ロジャーは後ろを向いたまま、強い声で制止する。

「そこまで!それ以上は、誰にも口になさらないでください。

 お約束です。」

「解っております。

 ええ、誰にも言いません、いえ、言ったとしても誰も信じません。

 ありがとうございます。

 本当にありがとうございます!」

「くれぐれも、お約束をお守り下さいますよう。

 それでは。」

 後ろを向いたまま、軽く会釈すると、再びロジャーメイドを連れて歩き始める。

 ジョンソン卿は、その二人の姿が、墓地の向こうに消えて無くなるまで、ずっと見送っていた。



「随分と今回は、サービスするのね、ロジャーさん?」

 森の中を歩きながら、メイドの娘が、ロジャーに話しかける。

サービスした訳じゃない。

 仕事の仕上げをしただけさ。

 妙に好奇心を持っていたからな」

「それにしちゃぁ、偉そうな事言っていたなぁ。

 何だっけ?

 『真実を含んだ嘘は、見破りにくい』

 一体、どこの偉いさんが言った言葉だ?」

 そう言って、脇道から一人の男が出てくる。

 その顔は、ポッパー警部と呼ばれていた男だ。

「うちのじいさんだよ。

 そんな事よりジェローム、前金はどうした?」

 ポッパー警部、いや、今はジェロームと呼ばれた男は、肩をすくめる。

「とうに使っちまったよ。

 スコットランドヤードまで、出張ってくる様にしたんだ。

 それ位ばらまかねぇと、ひとりふたりでスコットランドヤードでござい、という訳にゃいかねぇだろ?」

「それにしても使いすぎじゃない?

 ねぇ、重いからこの袋持ってよ。」

 そう言って、メイドの娘は、ジェロームに金貨の袋を放り投げ、自分はフードを脱ぐ。

 その顔は、紛れもなくマクレガー婦人である。

 もっとも、メイク変装していたのか、今の顔は随分と若く見える。

「うわっ、エリーナ。いきなり放るんじゃねぇ!

 おめぇ、すげぇ霊媒師なんだろ?

 小間使いの霊を呼び出して持たせりゃいいじゃねぇか。」

 マクレガー婦人改めエリーナは、ジェロームの方を見ていきなりベーと舌を出すという。

「おあいにく様。

 マクレガー婦人は、仕事を終えて、とっとと消えてお亡くなりになったわ。

 ここにいるのは、マクレガー婦人みたいな年増じゃなくて、若くてピッチピチのエリーお嬢様だけよ」

「けっ、誰がお嬢様だい」

 ジェロームがそう呟いたとき、ジェロームの反対側の脇道から声がした。

「まあ、マクレガー婦人を信じてる間は、ジョンソン卿が真実に気付く事は無いだろうな。」

 皆が一斉に声のした方を見ると、もう一人の男が茂みから出てくる。

 驚いたことに、その男は死んだはずのマクガフィンではないか。

 だが、誰も驚く者はいない。

 それどころか、ジェロームはフンと鼻を鳴らして文句を言う。

「遅せーぞ、ピーターズ。

 今回は、死体役で随分と楽したくせに、遅れてくるたぁ何事だ?」

 だが、マクガフィン改めピーターズと呼ばれた男は、ジェロームには目もくれず、ロバートに近づいて言う。

「手筈通りジョンソン卿が目にしそうな新聞に、訃報の掲載を依頼してきた。

 目立ちすぎず、しかし、しっかりと目にとまる程度の大きさでな」

 その言葉に、ジェロームがきょとんとした顔で言う。

「なんでぇ、おめぇ、自分訃報新聞に載っけて来たのか?」

「違う、マクレガー婦人の訃報だ」

「え?」

 ロバート言葉に、再びきょとんとするジェローム。

 そのジェロームを見て、やれやれという顔つきでロバートが言う。

マクレガー婦人は、実在してる。

 その評判があったからこそ、今回の仕掛けが成り立ったんだろ?

 だが、反面、ジョンソン卿は、マクレガー婦人の力を完全に信じている。

 まあ、そう言う風にし向けたのは、私だけれどね。

 なので、あまり興味を持たれて、もう一度、マクレガー婦人に接触しようとされると、面倒なことになる」

 その言葉に、ジェロームは今度はぎょっとした顔になる。

「じゃ、じゃあ、マクレガー婦人を、本当に殺めて・・・。」

「あんたは、本当に打合せを何も覚えてないのね」

 あきれた顔でエリーナが言う。

マクレガー婦人は、あの事件の数日前に亡くなっているわ。

 それも踏まえてあたしが成りすましたんじゃない」

「ああっ?そうだっけ?」

 ジェロームの脳天気な返事に、ピーターズもあきれて言う。

「既に亡くなっているのだから、接触されてもマクレガー婦人に会うことは出来ない。

 だが、亡くなった日と事件のあった日が前後していることがバレるとジョンソン卿が疑念を抱くことになる。

 だから、わざわざ、死亡日をずらして訃報を掲載したんじゃないか」

 ピーターズの言葉に、ジェロームが大袈裟に納得する。

「おお、そうか!そうだったな」

 だが、やや間をおいて言う。

「けどよ、もう、事はすんじまったし、今更、そんな細けぇとこに、気ぃ使う事、ねぇんじゃね?」

 その言葉に、ロジャーが諭すように言った。

「今回は、マクレガー婦人以外は、全て私が作り込んだ記憶だ。

 ジョンソン卿にダニエルという友人も、コンウェイ卿という知り合いも居ない。

 ましてや、マクガフィン等という敵役も居るはずがない。

 まあ、多少の金子を頂戴したが、全てはジョンソン卿の屋敷にアレがあるか、確かめるために仕組んだ芝居だ。

 その芝居がばれてしまったら、私達がアレを探していた事にジョンソン卿が気付く恐れがある。

 そうなればジョンソン卿は、必ず結社にその話を流すだろう。」

 ロジャーの話をピーターズが引き継ぐ。

「結局、ジョンソン卿の屋敷には、アレはなかった。

 私達がアレを探していることを結社に知られると、今後の捜索に支障が出る。」

ジョンソン卿には、自分超常現象で敵討ちをしたって思ってもらわないといけない訳ね。

 永遠に

 エリーナが話を締めくくると、ロジャーが頷いて言う。

「とまれ、今回の仕事も無事終わった。

 残念ながら、アレの手がかりは見つからなかったが、手元には幾ばくかの資金が残った。

 せめて次の街では、豪勢な物でも喰おうじゃないか」

 そうロジャーが言うと、一同はうなずき、そして再び歩き出した。

 陽は西に翳り、あたりは、早足で夜の帳に包まれつつあった。

 いつの間にか、その闇の中に彼らは姿を消し、英国の夜は静かに更けゆくのだった。

                        ~つづく かも~

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2009-08-28 (金)

[]独経原我 12:12 独経原我 - ことだまり を含むブックマーク はてなブックマーク - 独経原我 - ことだまり 独経原我 - ことだまり のブックマークコメント

 仕事がつまらなくなって、彼女にも振られて、人生つまらなくなったので、引きこもった。

 一月くらいして、良い感じに俺自身もアパートの部屋の中も膿んできた頃、突然、誰かがドアをノックした。

 出る来はなかったのだが、引きこもりとしてはまだ初心者、しかも、怒鳴るでもなく、いらだつでもなく、淡々とかつ延々と鳴り響くノックの音にうんざりして、つい、ドアを開けると、そこに俺がいた。

「あ、なんだ?」

「なんだじゃねぇ。

 入るぞ。」

 俺は、俺が入って良いとも言っていないのに、ずかずかと勝手に俺の部屋に入り込んでくる。

 まあ、俺なのだから勝手に入っても問題ないのだろうけれど、折角の引きこもり台無しにされたような気がして、俺は一寸腹が立った。

「こんな事になっているとは思っていたが、かなり酷いな。」

そう言うと、入ってきた俺は、部屋を片付け始める。

折角、締め切っていたカーテンを開けられ、窓も全開にされて喚起される。

膿んでいた心地よい空気が、刺々しい外気に入れ替わっていき、俺は忘れていた息苦しさを感じる。

どこにそんな物が仕舞ってあったのか知らないが、大きなゴミ袋を取り出してきて、布団の周りに散乱しているゴミや食べかけの食い物をどんどん袋に詰めていく。

一ヶ月かけて築き上げた俺の防壁が跡形もなくなり、仕舞いには、布団までベランダに干されてしまい、俺は素っ裸にされた気分で立ちつくす。

呆気にとられていると、俺は俺の目の前にどっかとあぐらをかいて座り込み、俺に向かって

兎に角、座れ」

と床を指さす。

俺も、どうして良いのか解らなかったので、とりあえず言われるままに座る。

「さて」

俺が話を切り出した。

「見て解るとおり、俺はお前だ。」

俺は、とりあえずこっくりと頷く。

「たぶん、世に言うドッペルゲンガーという奴らしい。」

「どっぺる・・・げんがー?」

俺は、きょとんとした俺の反応に頭を抱える。

「いや、まあ、確かにそういう奴だったな、俺は。

 ほらその、小学校の頃に読んでいた中岡なんちゃらの世界不思議とかに・・・」

更にきょとんとする俺。

その様子に、俺は諦めたように言う。

「止めておこう。

 俺自身、こんな事になって、慌ててググって思い出したんだからな。」

がっくりとうなだれる俺を見て、俺は言う。

「で、俺に何のようだ?」

 俺は、俺をキッと見つめて言う。

「何の用だ、じゃないだろう。

 引きこもっているのもいい加減にしろ。」

俺は、頭をぽりぽりと掻きながら答える。

「いやぁ、いい加減にしろと言われてもなぁ。

 もともと、会社で社内リストラ同然の扱いを受けていた訳で、俺が居なくても仕事が止まるわけじゃなし、お前は俺だから知っていると思うが、親兄弟はもう居ないし、オマケに彼女とも別れちまったから、困る奴も居ないと思うんだがなぁ。」

 そんな俺に、詰め寄るようにして俺が言う。

「俺が困るんだ」

「え?どういう事だ?」

 俺が言っていることが解らなかった俺は、ぽかんとして俺を見返す。

「こういう事だ。」

 長い俺の話を要約するとこうなる。


 俺がアパートに引きこもったその日の朝、気付けばもう一人の俺は、会社の前にいた。

 何で俺は会社の前に居るのかと戸惑い、とりあえず引きこもろうと俺のアパートに帰ろうとしたのだが、まるで金縛りにあった様に、体がピクリとも動かない。

 辺りには会社に出勤する人たちがあふれ、凍り付いている俺を不思議そうに見ている。

 知り合いに出会うのも時間の問題。

 どうにかしようともがいた挙げ句、ふと、会社の方には体が動くことに気付いた。

 そこで、しかたなく会社に出社すると、いきなり上司に呼びつけられ、仕事を言い渡された。

しかも、相当なビックプロジェクトである。

前の日に散々罵られ、仕事を干されたばかりなのに、何でこんな難しい仕事をとごねては見たが、兎に角やれの一点張り

新手の虐めか、どうせ俺にはできっこない、まあ、暫くお茶を濁してごまかすかと思いつつ、兎に角仕事に手をつける。

丸一日、仕事に明け暮れ、何とかその日の分の目処が付いたので、恐る恐る会社から出てみると、不思議な事にどこでも行ける様になっている。

ただし、アパートに向かおうとすると、案の定、金縛りになるので、しかたなく、ネットカフェに泊まり込む。

翌朝、今日こそ、引きこもる、予定とは違うし金もかかるが、ネットカフェ難民だ、と意気込んだのに、何故体が、勝手会社に向かう。

またしても、仕事以外、脇目もふらず一日が過ぎる。

その繰り返し。

じゃあ、週末まで仕事をせねばならんのかと、げっそりしていると、気付けば振られた彼女電話している。

思ってもない台詞が口からあふれ、何故かデートすることになる。

最初は、俺の言葉に、渋々出てきた様な雰囲気の彼女だったが、これまた勝手に口をついて出る言葉と、自分自身が驚く様な態度で、みるみる彼女の機嫌も良くなる。

なんと、その夜はホテルで一晩過ごす。

正直、良かったと自慢げに語る俺に、彼女の手すら握っていない俺は嫉妬する。

二週目になって、段々その生活にも慣れてくる。

アパートには相変わらず戻れないのだが、アパートに置いている小物がいくつか欲しくなる。

そこで、大家にでも頼んで持ってこさせるか、と電話をかけてみると、驚いたことに、今日、家にいただろうと言われた。

何じゃそりゃ、とネットでググっていて、ドッペルゲンガーという言葉に思い当たった。

ドッペルゲンガーを見た者には、死が訪れる」

なるほど、それでアパートに帰れないのか?

もう少し、調べようとしたが、仕事彼女とで忙しくそのうち、忘れてしまっていた。

まあ、なんだかんだで気付けば一月。

仕事も無事、目処が立ち、彼女ともうまくいっている。

だが、流石に一月のネットカフェ難民生活にも疲れて、なんとか帰れないかとアパートに向かうと、あっさりとたどり着いた。

ところが、俺のアパートに誰かが住んでいる。

そうだ、俺のドッペルゲンガーだと思い出し、この野郎、俺の苦労も知らずに引きこもってやがったなと思うと、一言言ってやろうとドアを叩いたのだ。



「全く、人が大変なときに、のんびりと引きこもりやがって、一体どういうつもりだ」

俺は、凄い剣幕で俺の胸ぐらを掴む。

俺は、最初のうちは、もごもごと言い訳していたが、あまりに俺がしつこいので

「い、いい加減にするのは、そっちだ。

 プロジェクトも任されて、そ、それに彼女とヤっちゃうなんて、なんだか、いや、絶対そっちの俺の方がうらやましいぞ!」

と叫ぶ。

すると、俺は、俺を掴む手をゆるめて少しにやけた顔で言う。

「うん、まあ、その、彼女は良かった。」

その一言で、俺の方が切れて逆に俺の胸ぐらを掴む。

「な、なんだと!

 俺が、一年以上も大事に大事に付き合ってきた彼女だぞ!!」

俺が苦しそうに答える。

「むぐぅ、だ、だけど、なんだか、煮え切らない態度について行けないって、振られたのはお前だろう」

俺は、更に激高した。

「な、何を!

 お前だって、俺だろう!

 あの時の辛さは知っているだろう!

 それが、一日で彼女ホテル直行なんてどういう事だ!!

 許さない、許さないぞぉ!!!」

ふと気付けば、捕まれている俺は白目をむいて泡を吹いていた。

はっとして手を離すと、どうと倒れる俺。

「お、おい、しっかりしろ!」

揺すってみるが、反応はない。

まさかと思って脈を取ってみるが、心臓も呼吸も止まっていた。

「ど、どうしよう」

ぺたりと座り込んで俺は途方に暮れた。

このまま、もう一人の俺を受け継ぎ、「リア充」の世界に足を踏み入れることも出来る。

だが、一月、部屋の中ですっかり膿んでしまった俺には、そのハードルは高すぎる気もする。

ドッペルゲンガーを見た者には、死が訪れる」

不意に、死んでしまった俺がさっきの話の中で言っていた言葉を思い出した。

確かに、それを言っていた俺は死んでしまった。

しかし、果たしてこうして佇む俺は、今、生きているのだろうか?

死んでいるのだろうか?

                              ~Fin

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