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2010-02-05 (金)

[]匣女*1 14:25 匣女*1 - ことだまり を含むブックマーク はてなブックマーク - 匣女*1 - ことだまり 匣女*1 - ことだまり のブックマークコメント

「なんだ、この女」

それが最初の印象。

朝の通勤ラッシュ。満員電車

俺の前に立っているのは、小さめのポリ袋に、ケーキ等を買った時についてくる様な小さな保冷剤を山ほど詰め込んで、しっかりと抱えている女。

保冷剤が、しっかりと固まっているところをみると、何かを冷やして運んでいるのだろう。

だが、そんな薄っぺらなポリ袋に詰めていては、冷たくてしょうがないだろうに、女は身動ぎ一つせず、ただしっかりとポリ袋を抱えている。

一体何を運んでいるのか。

ガタン。

電車が大きく揺れる。

ぎゅうぎゅう詰めの乗客も大きく揺れ、俺もその女も危うく倒れそうになる。

その刹那、袋の中身がちらりと見える。

匣?

発泡スチロールの匣。

これも野沢菜アイスクリームを持ち帰るときにもらうような小さな発泡スチロールの匣である。

これを冷やしてるのか?

だが女は、表情も変えずに体制を立て直すと、またしっかりとポリ袋を抱えている。

そうそう大きなサイズではないが、すし詰め満員電車では、はっきり言って邪魔である。

丁度、匣を押し付けられている形になっている老人が、邪険な目で何度も女のほうを見る。

が。

女ははやり無表情で立ち続ける。

老人が何度目かで女を見て、流石に何か言おうとしたとき、次の駅への到着を知らせるアナウンスとともに、電車はガクンと減速する。

老人はきっかけを失い、電車はそのまま、駅のホームに滑り込む。

ドアが開く。

大勢の人が降りる。

自分もいったんホームに降り、降りる人をやり過ごすと、再び電車に乗り込む。

気づけば、女の姿はない。

ここが目的の駅だったのか。

この駅に降りた人たちが改札に向かう階段を上っていく。

その中に女の姿を探してみるが、あっという間に別な乗客が電車に詰め込まれ、俺はその女の事は忘れ去る。


その晩。

疲れて帰ってテレビをつける。

いつものニュースをやっている。

俺の好みの胸のでかい女性キャスターが深刻な顔で告げる。

『次のニュースです。

 ○○○○さんを殺害し、その局部を切り取って持ち去ったとして全国に指名手配をされていた□□□容疑者が、本日、凸凸線の電車内で発見され鉄道警察隊によって緊急逮捕されました。』

凸凸線といえば、俺が通勤に使っている路線だ。

いったい、どんな容疑者だ、とテレビを見ると、そこに映し出されていたのは、あの匣を抱えた女だった。

そうか。

俺は得心した。

あの匣の中身は、好きな男のイチモツだったわけだ。

してみると、あの匣女は現代版の阿部定だったのか。

そう思って思い返せば、必死で抱えていたわけもわかった気がした。

それにしても

俺は思った。

発泡スチロールの匣の周りに保冷剤じゃだめじゃん。

ロゴス クーラーボックス アクションクーラー35 グレー 81448012

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*1文字化けしてる人へ:はこは”はこがまえ”に甲

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