私は毎日すべての事がだんだん良くなる

2006-12-07C_U_G/ショート・ストーリィ合評会へ。

C_Uのみなさんの作品に対する(恐れ多くも)評てぇヤツを書かせていただきます。


■Gのショート・ストーリィ合評会にTB

http://c-u.g.hatena.ne.jp/namgen/20061210


[]『約束』 Paco Garcia 16:50 『約束』 Paco Garcia - 私は毎日すべての事がだんだん良くなる を含むブックマーク はてなブックマーク - 『約束』 Paco Garcia - 私は毎日すべての事がだんだん良くなる 『約束』 Paco Garcia - 私は毎日すべての事がだんだん良くなる のブックマークコメント

http://c-u.g.hatena.ne.jp/PacoGarcia/20061125


パコさんは、僕の好きな作家の一人です。

まぁ、お互い浅田次郎が好きだったり卵のゆで方にうるさかったりと、いくつか共通項があることも大きく影響していると思いますが(笑)。


それはさておき、「C_Uのみなさんの作品に対する(恐れ多くも)評てぇヤツを書かせていただきます@第一弾」です。


親子四代に渡って連綿と受け継がれてきた『努力に憾み勿りしか』。

これは言葉であると同時に絆であり魂なのでしょう。一雄の父がそうだったように、一雄もまたこの言葉に父を見、同様に圭太も父を見ている。この対比が、「陽が傾きつつある」京都の空を背景に、美しい情景を観せてくれました。

この絆の強さは、親子というカタチをとったソウルメイトの一つの姿でしょう。

一般に、親もまた子に育てられて親として成長していく訳ですが、その重要な一コマを「約束」は鮮やかに切り取ってくれました。


>「なんだか知らないけど、行かないと後悔するような気がするの。あなたがね」

この一行が一見あざといようでいて秀逸な仕掛けとなっており、包容力のあるラストを予感させてくれます。

そして、この言葉を一雄に届けた瑤子に、夫婦の愛と家庭の暖かさを感じます。

大きな子供を二人も抱えて大変ですね、瑤子さん(笑)。


>大丸でライスカレー食べよな

>父が伸ばした手を私の肩に置いた。懐かしい匂いのする手から暖かい何かが流れ込んできたような気がした。

こんなところに浅田次郎が顔を覗かせているですね(笑)。

でも、きっちりとパコ語になっているところは流石。


>「まあ慌てることもないか。俺は俺で『努力に憾み勿りしか』を忘れんかったらええんや。なあ、おやじ」

夕陽に照らされた気持ちのいい笑顔がアップになる、奇麗なラストシーンです。

でも、実際このような会話のできる親子が今の世の中にどれほど居るのだろうか……。

しばし、切ないニュースばかりの今日この頃を思い、考えさせられてしまった読後の余韻でした。


最後に

パコさんって、ホントに「人」が好きなんですね。



好き度 ☆☆☆☆★

映像度 ☆☆☆☆★






[]『うちの晩ご飯』  susibar 21:10 『うちの晩ご飯』  susibar - 私は毎日すべての事がだんだん良くなる を含むブックマーク はてなブックマーク - 『うちの晩ご飯』  susibar - 私は毎日すべての事がだんだん良くなる 『うちの晩ご飯』  susibar - 私は毎日すべての事がだんだん良くなる のブックマークコメント

http://c-u.g.hatena.ne.jp/susibar/20061127


「C_Uのみなさんの作品に対する(恐れ多くも)評てぇヤツを書かせていただきます@第二弾」です。


susibar さん宛てにコトバを綴るのは初めてですね。

よろしくお願いします。

僕が知る範囲の susibarさん像は、幅広くて柔軟な吸収力を持ち、エネルギッシュな人という印象です。つい先日まで、susibarさんはもっと若い方だと勝手に思っていたんです。失礼しました。


『うちの晩ご飯』は、今まで読ませていただいた中では二番目に好きな作品です。

一幕一場という限られた範囲で展開される家族模様に、やはり現代の切ない世相がかぶってきました。


「ぼく」は、とても優しい子ですね。

表現手法からすると、小学校3〜4年生といった設定でしょうか。一番身近な存在である家族に対する気遣いから、日々相当な抑圧の中にいるのでしょう。恐らく学校でも「良い子でいなくちゃ」というところから一瞬も離れることはできない子なんだと感じます。

どうか素直に育って欲しいと願いながら読み終えました。



コロッケ、心置きなくゆっくり味わって食べたいよね?

気兼ねなくテレビ見たいよね?


家族に気を遣うあまり、面白そうなテレビの内容を把握することもできず音声から断片的な情報を得るだけ。

h_cat さんが指摘したように、初めはテレビの中の世界との絡みを見たいと思いましたが、そうしなかったところが susibar さんの創り上げた「ぼく」の切なさ(自身、それに気づいているかどうかは別として)が際立ってきた大きな要因だと思うのです。


>「おいしいかい?」

 おばあちゃんが言った。

 「おいしいよ」

 と、ぼくは答える。

 いつも、そう答える。


このやり取りは尾を引きますね。淡々とした抑揚のない表情とどこか虚ろな瞳が見えます。「ぼく」は、真正面から人と向き合うことができるのでしょうか。10年後の「ぼく」に会ってみたい気がします。その10年後の「ぼく」も、ぜひ一幕一場の中に居て欲しいですね。

映像化するとしたら監督の捉え方次第で、「ぼく」の心象風景を反映した恐ろしく迫力のある画になるか、淡々とクールに世相を皮肉る画にのどちらかになるんでしょうね。

果たして susibar さんの狙いは?



ところで

susibar さんとは、某アンダーグラウンドなサイトで擦れ違ったことがあるような、そんなニオイがしました(笑)。



好き度 ☆☆☆☆★

映像度 ☆☆☆☆☆






[]『旗振り』  deepred_9 00:38 『旗振り』  deepred_9 - 私は毎日すべての事がだんだん良くなる を含むブックマーク はてなブックマーク - 『旗振り』  deepred_9 - 私は毎日すべての事がだんだん良くなる 『旗振り』  deepred_9 - 私は毎日すべての事がだんだん良くなる のブックマークコメント

http://c-u.g.hatena.ne.jp/deepred_9/20061129


「C_Uのみなさんの作品に対する(恐れ多くも)評てぇヤツを書かせていただきます@第三弾」です。


deepred_9 さん、こんにちは。

初めまして、よろしくお願いします。


骨太で濃いC_Uの中にあって、常に柔らかな風を感じるのが deepred_9 さんのエリアだと思うのです。正直言うと、ホッとするワケで(笑)。

ただ、今回はパコさんの『約束』、susibar さんの『うちの晩ご飯』と読み継いだ後だったので、「交差点」「小学生(低学年)」というキーワードにC_Uっぽさを感じ、「何だかヤバそうな展開になっちゃうのかなぁ」と若干ドキドキしながら読むというバイアスのかかった状態だったので、安堵しつつも物足りなさを覚えてしまったです(スミマセン)。

随所に表れる細かい描写に、かなり視覚を助けられました。僕がこの作品を読んでいる時は「子供の目の高さ」で画面を覗いており、不思議なことに主人公である「僕」の姿は胸から上は映っていませんでした。

読了後によくよく考えてみると、「僕」が「ゆりちゃん」や「名前は…忘れたクン」、その他の子供たちを観察しながら、時折自分の小学生の頃をかぶらせ「共感」しているからだという事に思い至りました。

とりもなおさずそれは、大人目線では「とても小さな他愛もないこと」が、子供にとっては大問題である事実を思い出させてくれたという事です。

つまり、この作品は何でもないありふれた日常を「僕」の視点を借りながら、実は「子供の無邪気な残酷さ(著作権はぷよさん)」の断片を描いたと言っていいのではないでしょうか。

ラストシーンで、飛びっきりの笑顔で「僕」に抱きついてきた「ゆりちゃん」と、恐らくは泣きそうな硬直顔の「健司くん」が対比されていますが、このワンカットのために細かい描写を畳み掛けてきたのでは? と感じました。

この手法を煮詰めていけば、相当味わい深いものになるんじゃないかと気づかせてもらっちゃったワケです。


ご馳走様な一編でした。

ありがとうございます。



少し深読みしすぎ?(笑)。



好き度 ☆☆☆★★

映像度 ☆☆☆☆★






[]『塒(ねぐら)』 BOBOBO 00:53 『塒(ねぐら)』 BOBOBO - 私は毎日すべての事がだんだん良くなる を含むブックマーク はてなブックマーク - 『塒(ねぐら)』 BOBOBO - 私は毎日すべての事がだんだん良くなる 『塒(ねぐら)』 BOBOBO - 私は毎日すべての事がだんだん良くなる のブックマークコメント

http://c-u.g.hatena.ne.jp/BOBOBO/20061130


「C_Uのみなさんの作品に対する(恐れ多くも)評てぇヤツを書かせていただきます@第四弾」です。


BOBOBOさん、こんにちは。

『アノマロカリス』の李参堂さんですよね?

あの時は、圧倒されました。


C_Uの中で、BOBOBOさんの存在は異彩を放っていると感じています。

なんとなく島田荘司のようなニオイのするところもありますが(似ているといった意味じゃないですよ?)、何よりも「博覧強記」といった印象が強いBOBOBOさん。


『塒(ねぐら)』は難しい作品でした。

営団地下鉄日比谷線は、南西は東急東横線、北は東武伊勢崎線と相互乗り入れしている長い路線です。『塒(ねぐら)』の中にも現れてきますが、これほど沿線の様子と乗客の層がガラリガラリと変化していく路線はナカナカありません。その特性を敢えて舞台として選んだことに、まず脱帽です。この路線が舞台だからこそ、無関心で乾燥している都会と、無遠慮に干渉する部分も含めて人肌を感じさせる田園風景とが自然に繋がったのだと思います。

BOBOBOさんは伏線の張り方が特徴的で、一見「関係あるのかな?」と思わせるエピソードがちゃんと要所要所で効いてくる。モノローグの手法が絶妙な相乗効果をあげているのでしょう。


また、一つひとつの言葉を吟味しているのを感じますが、特に章のタイトルが上手いですね。個人的には、冒頭の「-悲鳴-」と中盤の「-狸-」は、もう少し工夫してくれると面白さが増したかな? と感じましたが、「-呪縛-」は秀逸ですね。ここに登場するすべての人物が、それぞれあるものに「縛られている」ことを想起させてくれます。そして『その言葉を聞いた人々はおおむね彼女が望む通りの行動をとった。』という呪縛に、『車内はいつもと変わらない様子になって』しまう。

もうひとつの秀逸、「-街(まち)-」。

『昔は低地で湿地帯だった筈』の「○○山(ヤマ)」にあった『塒(ねぐら)』が、『横文字の名前が付いた住宅街』に埋もれてしまっている。昔はここが街になるなんて誰も(狸も)思いもよらなかったんでしょう。

そのことに対して何の想いも感慨も表さず、淡々と自転車を走らせる「僕」。そして「僕」が帰る場所は、また少しずつ『役割を失って』いき、無関心で乾燥した都会の環の中にいずれ埋もれていってしまうのでしょう。

余計な事を語らず、落ちを敢えて曖昧にしたところに、あれこれと現代へのアイロニカルな「眼」を強く感じた作品です。


圧倒が増えちゃって困ったですよ(笑)。

これから、改めてよろしくお願いします。



好き度 ☆☆☆★★

映像度 ☆☆☆☆★






[]『善なる人々』 namgen 01:56 『善なる人々』 namgen - 私は毎日すべての事がだんだん良くなる を含むブックマーク はてなブックマーク - 『善なる人々』 namgen - 私は毎日すべての事がだんだん良くなる 『善なる人々』 namgen - 私は毎日すべての事がだんだん良くなる のブックマークコメント

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「C_Uのみなさんの作品に対する(恐れ多くも)評てぇヤツを書かせていただきます@第五弾」です。

お玉さんのは最後に書くのでここでは飛ばします(笑)。


南無さん、このたびはお招きありがとうございます。

ただでさえ刺激満載の日々に、さらにスピード感たっぷりの刺激をガッツリ増やしていただき感謝してます(爆)。

goo BLOG がスタートした頃、南無さんは常にトップランカーでしたね。毎日必ずお邪魔してましたっけ。いろんな勉強をさせていただきました。


今回の『コンポラG第1回ショート・ストーリィ』の仕掛け(縛り)は、実は南無さんがぷよさんの作品の中の「ぎゃあっ」という言葉に魅き込まれ、「ついでにみんなを巻き込んじまえ!」と、確信犯的に企んだのではないか? と邪推しています(笑)。

だって、嵌りすぎ。でも、相変わらずの南無さん節顕在で嬉しかったですよ。『善なる人々』というタイトルも南無さんならではですね。


事細かな設定に読み手の眼が雁字搦めに固定されてしまうのは南無さんのうまさです。誰が読んでも細部までまったく同じ映像が視えてしまうはず。音も色もアングルも寸分違わぬ映像が。

恐らく南無さんは何事もキッチリしないと気が済まない性分なんじゃないですか?

「ぎゃあっ」という声が二人にかぶっているところは、流石と唸ってしまいました。恐らく、ここに書かれていないところでは、他の登場人物も「ぎゃあっ」と叫ぶ場面があるような……。


『善なる人々』は、個人的にはやはり長編で読みたいですね。それぞれの登場人物目線で重層的に書いて貰えたら嬉しいなぁ。時々覗く説明チックな描写も、長編になればもっとスマートな描写にできることでしょうし。特に鬼頭をもっともっと観たいです……というのは我が侭な望みでしょうか?



しかし、みんなパワフルですよね。魅力的な人ばかりだし。これも南無さんのオーラのせいに違いない。

僕もそのオーラの一欠片を浴びさせていただきたく(笑)。

改めてこれからもよろしくお願いします。



好き度 ☆☆☆☆★

映像度 ☆☆☆☆★






[]『殺意の谷』  h_cat 15:26 『殺意の谷』  h_cat - 私は毎日すべての事がだんだん良くなる を含むブックマーク はてなブックマーク - 『殺意の谷』  h_cat - 私は毎日すべての事がだんだん良くなる 『殺意の谷』  h_cat - 私は毎日すべての事がだんだん良くなる のブックマークコメント

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「C_Uのみなさんの作品に対する(恐れ多くも)評てぇヤツを書かせていただきます@第六弾」です。


h_catさん、まず番外編の『狼煙』に真っ先に評をいただき、ありがとうございます。

今までは擦れ違うようなご縁でしたが、改めてお世話になります。

よろしくお願いします。



『殺意の谷』というタイトル、「短い悲鳴を残して少女は谷底に消えた。」を含むサスペンスフルな一行目……これでこの作品の中身は決定づけられています。「小説というものは最初の一行で決まり、最後の一行で締まる」と言いますが、まさしくそれを地でいったような作品でした。


読み進めながら、現実に起こったあるいたましい事件がかぶってきましたが、後から『アガスティアの葉に火をつけろ。』にお邪魔して納得しました。こういう設定は難しいですよね。ある程度感情を抑えていかないと現実に引きずられて破綻しかねないと思うのです。その点、淡々と綴りながらも細かい描写を重ねていくことで、スリリングさを際だたせているところは「ただもんじゃない」と感じました。


「ただいまぁ!お留守番ありがとねぇ!」という一言が何らかの対比があることを暗示してくれたため、あまりブレることなく一気に読むことができました。

ただ、「真希子」と「彩音の母」の書き分けの工夫があるとシーンごとの空気感がもっと明確になったと思います。名前の無い「彩音の母」の部分は徹底的に三人称で綴るか、あるいはもっと切迫し分裂した表現にしていくか、などによってこの対比が際だってくるのではないでしょうか。


「最後の曲がり角の公園の前に来た時、男の子がひとりで歩いているのが見えた。あれはたしか、裕太君だ。どうしたんだろうこんな時間に。」

個人的には、ここは「裕太君」ではなく「裕太」と切り捨てるようにすることで、平和な家庭や社会に向けての「切れたこころ」を表現することもできたのでは? と思います。


いずれにしても映像的には一級品のサスペンスドラマを観ているような、そんな気にさせてくれました。

全体を通して細かい部分まで丁寧に描写することで上滑りせず重みのある作品になっていますし、h_catさんも納得するまで書いてみたいとの事なので、より迫力のあるものとなって再び読むことができるのでしょう。

今からそれが楽しみです。



好き度 ☆☆☆★★

映像度 ☆☆☆☆★






[]『ブチコ』 puyop 16:18 『ブチコ』 puyop - 私は毎日すべての事がだんだん良くなる を含むブックマーク はてなブックマーク - 『ブチコ』 puyop - 私は毎日すべての事がだんだん良くなる 『ブチコ』 puyop - 私は毎日すべての事がだんだん良くなる のブックマークコメント

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「C_Uのみなさんの作品に対する(恐れ多くも)評てぇヤツを書かせていただきます@第七弾」です。


ぷよさんはズルイ(笑)。

こういうものに対して冷静に評を書けるほど僕はドライじゃないし。

ただ、ひとつだけ……


「そして、場面は冒頭に戻る。」

「だが、それでは話は終らなかった。」


この二行は余計です。

時間が無かったんでしょうね。それは判るけれど、ぷよさんならきっちり書けるはず。

この二行のひっかかりが、気になっちゃいました。


あ、もうひとつ。


「どこか遠くで、猫の声がした。」


これが一番ズルイ一行です(笑)。




ぷよさん、いつもありがとうございます。



好き度 ☆☆☆☆☆

映像度 ☆☆☆☆★






[]『呪文』 otama-neko 19:11 『呪文』 otama-neko - 私は毎日すべての事がだんだん良くなる を含むブックマーク はてなブックマーク - 『呪文』 otama-neko - 私は毎日すべての事がだんだん良くなる 『呪文』 otama-neko - 私は毎日すべての事がだんだん良くなる のブックマークコメント

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「C_Uのみなさんの作品に対する(恐れ多くも)評てぇヤツを書かせていただきます@ラスト」です。


『呪文』にはまったく見事に釣られました(爆)。

まさか、C_Uに嵌ってしまうとは(笑)。


まず、お玉さんの描く空気が好きなんです。

いつも微風と匂いを感じるんです。

『呪文』は、そのタイトルに「暗示」を感じながらも、ファーストシーンのあまりの美しさにしばし呆となりました。この「一枚の風景」は、本編を読むにつれ要所要所でカットバックされます。ワインのラベル越し、男の肩越し、カウンターの灯り、総菜売り場で硬直した背景、AVの画面の向こう……そして「わたしの中の獣」の心象風景の一片として。

この絵は、そのリリカルさが「わたし」の切なさや羨望や欲求と対比され、その都度「わたし」と「絵」とのギャップを想起させてしまう。

ラストカットは「赤い液体を口にはこび」……そこにゆるやかにオーヴァーラップしてくるこの絵。

それが見えた時に「あぁまたやられたな」と感じたワケです。お玉さんが意識したかどうかは別として、僕は勝手にそういう映像の『呪文』に絡め取られていました。

これは、お玉さんの絵の凄さを僕が知っていることと、映像屋だった僕の特殊な目線だからなのかもしれません。


お玉さんの mixi のコメントにも書いたのですが、こういうのって女性にしか描けないと思うのです。

そして、やけに鋭敏なシズル感と、お玉さんらしい匂いたつような流れがリアルすぎて、女の生々しさに気づかされた感があります。ただ、お玉さん自身は恐らくまだまだ抑制しているのでは?

書きたいことはもっとたくさんあるのに、どう表現したらいいのだろう? といった躊躇いが垣間見えた気がします。


「辰」が、思わず今まで使ったことのない筆をとってしまったのは、あまりにリアルな『呪文』に触れてしまったからなのだと、今にして思うのです。



好き度 ☆☆☆☆☆

映像度 ☆☆☆☆☆

(この「満天の星」は、今回僕に向けて放たれた起爆剤としての+αも含めて)




[]C_Uのみなさんの作品に対する(恐れ多くも)評てぇヤツ 19:11 C_Uのみなさんの作品に対する(恐れ多くも)評てぇヤツ - 私は毎日すべての事がだんだん良くなる を含むブックマーク はてなブックマーク - C_Uのみなさんの作品に対する(恐れ多くも)評てぇヤツ - 私は毎日すべての事がだんだん良くなる C_Uのみなさんの作品に対する(恐れ多くも)評てぇヤツ - 私は毎日すべての事がだんだん良くなる のブックマークコメント


みなさんお気づきと思いますが、僕は文章を映像として観てしまいます。映像として観るに耐えないものも世の中にはたくさんありますが、良くできた文章は映像化しても充分に訴求力があり、人の心を揺らすことができるものです。

今回の経験は、短期間にいい映像をたくさん観せてもらうことができ、その点でも刺激的でした。

あくまでも商業主義に走らず、やりたいことをやり尽くす……「本物」を目指す、C_Uならではの「掟」に意気を感じ、参加させていただいたことに改めて感謝します。

ありがとうございました。


追記:

表記上の問題なのですが、web上の表現であっても書籍等平面の暗黙の了解的決めごとに則ってはどうでしょう? これは編集者が長年の経験値によって積み上げてきた「読みやすさ」への一つのカタチです。公募などで選考する場合、そうした細かいところを気にする選者も居るということもあるので、表現上の拘泥わりに影響がないのであれば、意識しておいて損はないと考えますが。


例えば……


●「?」「!」の後は一マス空け

 「政恵!はよ来て!」 → 「政恵! はよ来て!」


●「」中の文末は句読点を省く

 「お前、ホンマに賢いんやねぇ。」 → 「お前、ホンマに賢いんやねぇ」


●三点リーダーの表記は…の複数使用

 「ブチ・・・コ、あんた、戻って来たん?」 → 「ブチ……コ、あんた、戻って来たん?」


●アラビア数字、英文字が二桁以上の場合は半角に


その他いくつかありますが、web的には以上数点を意識するだけでも良いかと思います。

例題にぷよさんの『ブチコ』をお借りしました、勝手にすみません。



なんて偉そうなコトを言いながら、次回「辰の言い訳(汗)」に続く……。

PacoGarciaPacoGarcia2006/12/07 21:00ありがたいお言葉。沁みるです。しかしtatsuさんに見抜かれた通り、浅田次郎が入ってます。ついでに言うと北方謙三様も。どうしてもそこから逃れられないのが私の悩みでもあるわけで。次作はもう一歩進んだものを書きたいです。今の世の中であり得ないような物語を、あるかも知れないと思わせるようなところまで書き込みたいと思っています。お仕事とてつもなく忙しい中、丁寧な評をしていただきありがとうございました。
あ。人、好きですよ。大好きです。それが幻想だとしても、いえ、幻想だからこそ「善なるもの」を描き続けたいと思っています。
ありがとう。

辰2006/12/07 21:22★パコさん
>今の世の中であり得ないような物語を、あるかも知れないと思わせるようなところまで書き込みたいと思っています。

それ、僕もですよ〜。
この間、会えなかったのが何とも残念っすねぇ。
パコさんとは話が尽きない、そんな気がしてなりません。
オールだオール!(爆)

susibarsusibar2006/12/08 10:35非常に深く読んでいただいて、まずそれに感謝します。
10年後、この少年は勉強させられた成果が出て大学に合格し、一人暮らしを始めて、そこでまわりの友達の生活環境と自分のおかれていた環境のギャップに驚き、幼児期におさえつけられていた幼児性が爆発し、現在に至るわけですが、やはり植えつけられた「いい子でいないといけない」という呪縛が、彼の人生最大の選択ミスをおかすことになります。

あと、某アングラサイト・・・・いくつか思いつくのですが・・・どこでしょうかね?(笑)

辰2006/12/08 12:54★susibar さん。
どもども〜
ぜひ後日談をご紹介ください。舞ってます。

>いくつか思いつくのですが・・・

わはは〜
ではでは、いずれまた改めていつかきっとそのうちに語りましょうか(笑)。

deepred_9deepred_92006/12/10 01:38深読みしすぎなんてとんでもないです。ありがとうございます。なんだかとってももったいない評をいただきました。
未熟者ですが、よろしくお願いいたします。

辰2006/12/10 02:00★deepred_9 さん。
もったいないなんて(笑)。
ゆるゆるとやっていきますので、よろしくお願いします。

namgennamgen2006/12/10 14:31ども、辰っちゃん。
ようやく、コンポラGに馴染んできたようですね。ここで初めての江戸っ子の参加じゃないでしょうか。これで、メンバーの出身地や居住地を鑑みると南は九州から四国、近畿、東海、北陸、関東、東北、北海道まで網羅したかな。コンポラGの日本制覇が近づいているというわけです。この度は色々戸惑われたのではないかと思っていますが、さすが、江戸っ子ですね。ポーンッと飛び込んで貰えて嬉しいです。様々な地方の土着性や大都市をも包括した思想性を醸し出しながらこのグループは動いていくのだと思いますね。
早速ですが、私の作品に対しての読み込み有り難う御座います。また、「被り」を取りあげて頂いて嬉しかったです。原文は4重の被りがあったのですが「ショート・ストーリィ」としての制約を超えていってしまったので困った末のやりっ放し仕事になっちまいました。いつか構成編集してみたいと思っております。「被り」はすでに未完の「黄泉の男」で試していこうと既に構想は練られています。それをちょっと今回試してみたのです。時間性の超越というものが自分を捉えて離さないのです。
ここコンポラGは様々なジャンルの方が集まりワイワイ、ワッショイとやっていきたいと思っています。その人の得意とするものを徹底的に「実験」するということが大切ではないかと思っています。冒険心や実験魂をもって臨もうというわけです。そういう中で本体のC-Uへ架橋してゆくみたいな事を考えています。
今回無理を言ってスミマセンでした。

辰2006/12/10 15:34南無さん。
いえいえ、南無さん始めC_Uのみなさんとこんなに濃いお付き合いができるようになるとは思っていませんでしたので、素直に嬉しいです。
いやぁ、でも脳みそぐじゅぐじゅになりそうっす(爆)。

h_cath_cat2006/12/10 18:18あらためまして。宜しくお願いします。今回の作品では、彩音の母親に名前さえ授けてやりたくなかったという差別的な思いがありました。と同時に相反して名前をつけないことで『誰であってもおかしくない』という思いを伝えたかったというのもありました。その辺りが物語の中で描ききれてなかった甘さがありますね。御指摘の『「裕太君」ではなく「裕太」と切り捨てる』ですが、ここは私も考えたところです。私はおそらく畠山鈴香そのものを描こうとしていたのではなく、どこにでもいる母親の中の一人を描きたかったのです。その辺も書き足りなかったところ。もっと時間をかけて書き込んで、いつか読んでいただけるよう努力します。ありがとうございました。

辰2006/12/10 19:14★h_cat さん。
>『誰であってもおかしくない』
これは充分に伝わってきたです。重く。
世の中、どうにも切ないですよね。ぜひまた力作を読ませてください。思いっ切り勉強させていただきます!

otama-nekootama-neko2006/12/10 20:58
すごい評論です。驚いています。
他のメンバーの評も読んで、ため息が出ました。
こうして、じっくり読んでもらえることの嬉しさをつくづく噛み締めています。

辰さんは、映像の人なのですね。なるほどと思いました。

最初の風景描写は、この女がどんなに渇望しても得られないものの象徴として置いたものです。
考えた末に最初に置いたのは、それを読み手に印象づけたかったからです。
暗示がそのように伝わっているとしたら、すごいなと思います。

今回、イメージを呼び起こすために、鉛筆でラフな絵コンテを描きました。
壁に張って眺めながら物語を作っていったんです。
人物と、ビデオの女、カウンターの配置、ホテルの部屋と、キッチンです。
最初の段階では、もっと説明的な情景描写が多かったのですが、
推敲の過程で余計だと思われる箇所を全体の三分の一程度削除して、整理しました。
文章を書き慣れている人は、きっと頭にそういう図ができているのでしょうね。
不器用なりにもがきましたが、すごくいい勉強になったと思います。

それにしても、こんなに読み込んでいただけるなんて!
書くものとして嬉しいです。

辰さん、ありがとうございました。

辰2006/12/10 22:27★お玉さん。
いや、そんなに言われると浮きそうです(笑)。
>イメージを呼び起こすために、鉛筆でラフな絵コンテを描きました。
これは素晴らしいコトですね。その絵をすべて文字に置き換えることができたら、間違いなくもの凄いことになるはずです。
楽しみ〜!

puyoppuyop2006/12/10 23:33まいどっす!
>こういうものに対して冷静に評を書けるほど僕はドライじゃないし。

えーっ!期待していたのに。^^
今度飲むときに、ひとつキビシー意見お聞かせください^^

ただ、ひとつだけ……

>この二行は余計です。

h_catさんにも指摘されました。^^;
今、思いだしたんですけど、実際、そこで自分自身が、さてどうしようと息をついた箇所なんですよね。
最初の箇所は、もう何度か奇跡の生還(?)をさせるかどうかで、後の箇所は、締めをどの位で終らせるかで。

悩みが文章に残っていちゃ、イカンですね。^^;
まだまだ、がんばります。

>あ、もうひとつ。
>
>「どこか遠くで、猫の声がした。」
>
>これが一番ズルイ一行です(笑)。

あははは、ちょっち安直でしたか?^^;
どうしても、もう一段、下げが欲しくて書いてしまいました。

落語の「お後がよろしいようで」、遠野の昔語りの「どっとはらい」みたいなもんです。(違う?

あと、
>表記上の問題なのですが、web上の表現であっても書籍等平面の暗黙の了解的決めごとに則ってはどうでしょう?
につきましては、私もちょっと考えていた話なので、次回から考えたいと思います。

コメントありがとうございました。^^/

辰2006/12/11 00:02★ぷよさん。
えーっ! 期待していたの?(笑)。
>ちょっち安直でしたか?
いや、この一行に涙が増えちまったんです。
だから、ズルイと(笑)。
効き過ぎのラストです。堪りませんって。

BOBOBOBOBOBO2006/12/11 22:45そうです。李参堂です。
作品以上の解説を頂き誠に恐縮です。

「塒」の舞台はかつて「毛野国」(けのくに)などと呼ばれておりまして、それが「BOBOBO」に
に繋がるものと、思って下さって結構です。
(いや、無理に思わなくてもいいですよ。)

ともあれ「東武伊勢崎線」の本質を御存知の方が
読んで下さった事は望外の喜びです。
(アノマロカリスの海を読んで頂いた事も。)

ありがとうございました。

辰2006/12/11 23:56★BOBOBO さん。
「毛野国= BOBOBO さん」と……
しっかり記憶しておきます(笑)。
BOBOBO さんの作品を読むときは、ヨシッと気合い入れてからじゃないと読めないんですよ。それほどチカラ強い存在感です。
こちらこそありがとうございました。
これから改めてよろしくお願いします!